2019 Fiscal Year Annual Research Report
Examination of parenting attitudes that promote differentiation of self
Project/Area Number |
16K04294
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
工藤 浩二 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90748138)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自己分化度 / 養育態度 / ストレス脆弱性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,自己分化度を高めるような親の養育態度を明らかにし,その結果をもって,子どものストレス脆弱性の軽減につながるような子育ての在り方を提案することであった。 その目的のもとに,はじめに自己分化度尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討した。次いで,自己分化度の年代別プロフィール作成を目的をとして,web調査を実施した。その結果,青年期から高齢期にかけて自己分化度が高まることが示された。一部の下位尺度においては,10代から青年期にかけて一時的に自己分化度の低下がみられた。これまで,自己分化度は発達的に変化するものとされてきたが,本研究によってそのことが初めて実証されたといえる。また,青年期にかけて自己分化度が一時的に低下することから,青年期の不適応状態について自己分化度の発達的変化から説明可能であることが示唆された。さらに,大学生を対象とした質問紙調査を実施したところ,自己分化度低群は高群よりも不適応状態を呈していることが示された。これにより国内の大学生においても自己分化度仮説が妥当することが示唆された。 最終年度である本年度は,自己分化度を高めるような養育態度を明らかにすることを目的に,大学生を対象として自己分化度とそれぞれの親の養育態度について質問紙調査を実施した。その結果,母親の養育態度が過保護でなく養護的である場合に対人領域における自己分化度が最も高いことが示された。一方,個人内領域における自己分化度については母親の養育態度との関連はみられなかった。父親の養育態度については,過保護でなく養護的である場合に,対人領域と個人内領域のいずれにおいても自己分化度が最も高いことが示された。自己分化度とストレス脆弱性の関連を踏まえると,過保護でなく養護的な養育態度が子どものストレス脆弱性の軽減に有効であることが示唆された。
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