2018 Fiscal Year Research-status Report
いじめ被害児童生徒の被援助志向性を考慮した相談システムの開発
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16K04300
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
水野 治久 大阪教育大学, 連合教職実践研究科, 教授 (80282937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 真大 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40579140)
戸田 有一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243376)
竹内 和雄 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (10639058)
永井 智 立正大学, 心理学部, 教授 (20513170)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | いじめ / 顕在性攻撃被害 / 関係性攻撃被害 / 援助要請 / 被援助志向性 / 小学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
援助要請といじめ被害感の関連を確認するために,児童のいじめ被害に関する援助要請の経路について検討した。 小学校5年生,6年生352名を対象に調査を実施した。調査票は2017年6月・7月(以下T1)と11月・12月(以下T2)に配布され,二度の調査票を回答した345名のデータを分析した。顕在性攻撃被害の場合,最初に保護者に相談すると回答した児童は48.3%,最初に担任教諭に相談すると回答した児童は17.4%であった。2回目に保護者に相談する児童は29.5%,担任教諭に相談する児童は34.9%であった。関係性攻撃被害については,最初に保護者に相談すると回答した児童は39.4%,最初に担任教諭に相談すると回答した児童は27.8%であった。2回目に保護者に相談する児童は34.5%,担任教諭に相談する児童は34.5%であった。 援助要請がT2の被害感にどのように影響するのかを検討したところ, 顕在性攻撃被害では保護者に対する2回目の援助要請の主効果(F(2,343)=3.62,p<.05)が認められ,保護者を相談相手として選択しない児童より,2回目に保護者を相談相手として選択した児童の被害得点が有意に低かった。関係性攻撃被害では,保護者に対する2回目の援助要請の主効果(F(2,343)=4.79,p<.01)が認められ,保護者を相談相手として選択しない児童より2回目に保護者を相談相手として選択した児童の被害得点が有意に低かった。加えて関係性攻撃被害では,1回目,2回目の担任教諭に対する援助要請の主効果が認められ(F(2,343)=4.79,p<.01),担任教諭を相談相手として選択しない児童より,1回目,2回目に担任教諭に相談すると回答した児童の被害得点が有意に低かった。この結果から保護者や担任教諭への相談を促していくことがいじめ被害感の低減には有効である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
児童の援助要請を促進するアプリの開発は現在構想段階で,平成31年度には実現に至らなかつたため
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Strategy for Future Research Activity |
現在,いじめ相談アプリを展開しているSTOPIT JAPAN( https://www.stopit.jp/)と連携している。31年2月に岡山県教育委員会と連携した。今後は,STOPIT JAPANの相談アプリから児童生徒の援助要請を低減するコンテンツを開発し,応用していきたい。STOPIT JAPANのいじめ相談アプリは,千葉県の市町村教育委員会,奈良市教育委員会,岡山県教育委員会などで導入されているシステムである。
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Causes of Carryover |
今年度計画では,いじめ被害者が援助要請できるようなアプリの開発を目指していた。しかしながら平成30年度の調査において,援助要請が必ずしもいじめ被害を軽減できなことがわかった。平成31年度は調査を新たに分析した関係で研究資金が余った。これが次年度使用額が生じた理由である。
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