2018 Fiscal Year Annual Research Report
body movement analysis of learning through explanation
Project/Area Number |
16K04304
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
松尾 剛 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (50525582)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 身体動作 / 説明 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,説明中の身体の動きが説明者自身の理解に与える影響を探索的に検討することである。昨年度までは主に説明中の身体の動きと説明内容の記憶成績についての量的な関係を検討した。本年度は説明内容の違いによる説明中の動きの違いを質的に分析するといった視点を新たに加えて,より詳細な検討を試みた。 主に個人内の変動に着目をして分析を行ったところ,ある実験参加者は説明中と比べて言いよどみが生じている際には頭部の動きが少なくなる傾向が見られた。一方で,手の動きについては説明や言いよどみといった区別に関係なく同程度に動いていた。動きの詳細に注目すると,説明中の手の動きは言葉による説明を視覚的に補う機能(例えば「一種」という時に人差し指をたてて「1」を示す。2つの事柄を話す時に右手と左手を出して2つの事柄が対比されていることを示す。)を担っていると推測されるものが主であった。それに対して,言いよどみが生じている際の手の動きは,自分の体に触れるといったものが主であった。藤井(1997)はこのような自己接触行動と記憶検索との関連性を指摘しているが,本研究においても説明の精緻化を試みようとする「あとは・・・」といった言いよどみの際に自己接触の動きが見られた。 従来の研究では主に身振りとして手の動きが注目されてきた。今回の研究を通じて,言いよどみが生じる際には身体の揺れが小さくなったり,上を見上げたりする様子がしばしば観察された。説明中に言いよどみが生じている時には,説明者がどんな風に説明するかを考えたり,自分の説明の精緻化をしようとしていると考えるならば,説明を通じた理解の深まりの過程を検討する上で,体幹部の動きや揺れに注目することの重要性が示唆される。
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