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2017 Fiscal Year Research-status Report

教科としての道徳における指導と評価の方法の確立を目指した学習モデルの開発

Research Project

Project/Area Number 16K04305
Research InstitutionKagoshima University

Principal Investigator

假屋園 昭彦  鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (30274674)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords道徳 / 授業デザイン / 道徳的価値 / 指導 / 評価方法
Outline of Annual Research Achievements

本研究は,平成30年度より小学校で教科化される道徳について,その指導と評価の方法を開発することを目的とした。文科省は,平成29年6月発行の学習指導要領解説のなかで,評価のあり方について言及している。この言及において文科省は,教科としての道徳で評価の対象となるのは,道徳性そのものではなく,学習状況であると述べている。学習状況とは,児童が授業のなかで,どのように学んでいるかという学習活動の様子である。したがって,授業のなかで児童のまなびがどのように成長しているかを評価するのである。教師の多くは評価を考える際,この点を十分に理解していない。
評価規準が学習状況であるならば,児童の学習状況をいかに把握するかが次の問題になる。すなわち,児童の学習状況を反映できるツールが求められるのである。本研究では,授業中に使用するワークシートがこのツールになると考えた。ワークシートは児童の学習状況を反映しうる。しかし現在のワークシートの使われ方を見ると、ワークシートがもつ機能が十分生かされているとは言い難い。学習状況のツールとしてワークシートを用いるならば、現在付与されている以上の,新たな機能をワークシートに付与する必要がある。
本研究では,「児童の思考過程を反映させる機能」を与えたワークシートを開発し,このワークシートを使用した検証授業を実証した。検証授業の対象は小学校6年生で,4回の検証授業を実施した。この4回の授業をとおしたワークシートの内容を分析し,その変容を検討した。分析は,ワークシートに記載された文章を内容にしたがってカテゴリー化する方法を用いた。その結果,文章の内容が回を重ねるにしたがって高度になっていることが明らかになった。この結果をもって,本研究で開発したワークシートは,評価のためのツールとして活用可能であると判断した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究はおおむね順調に進展している。本研究では,教科としての道徳の指導と評価の方法についての開発研究である。初年度である28年度は指導方法の開発として,道徳的判断力の育成を目指した授業デザインを開発した。これらの研究では,道徳的判断を行う際の規準を児童に発見してもらうという授業デザイン,および実際に人間が暮らしのなかで道徳的判断を行う過程をそのまま反映した授業デザインを開発した。
これらの授業デザインの特徴は,道徳的判断過程の可視化,自覚化,明確化が可能になるという点にある。通常,人間が無自覚的に行っている判断過程を,授業の個々の学習活動として可視化することによって,判断過程が明確になり,自覚化することができるようになる。このような授業を行うことによって,道徳的判断過程を把握することが可能になる。さらにこのことによって,児童の判断過程の変容を把握することも可能になり,児童の変容,成長を評価することが可能になる。
2年目の29年度は,評価のツールとなるワークシートを開発した。これまで道徳の時間に使われていたワークシートは単に意見の記録だけの機能しか持っていなかったと言える。本研究では,新たに児童の思考過程を反映する機能をもたせたワークシートを開発した。そしてこのワークシートを用いて児童の思考過程を把握するための規準を作成した。このワークシートと規準を用いると,児童の思考過程の変容を把握することができることを検証授業によって実証した。
このようにこれまでの2年間で本研究では,児童の変容を把握するための授業デザインとワークシートを開発し,その効果を実証した。こうした点から現在まで本研究は,ほぼ順調に進展していると言うことができる。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究は,評価のツールとなるワークシート開発を中心に行う予定である。学習状況を評価するにあたって重要なことは,評価のための根拠資料を数多く収集することである。ワークシートは重要な根拠資料となりうる。これまでワークシートは単なる記録としてのみ使われていた。そのため現在,現場で使われているワークシートはあまりにも雑であり,評価のための根拠資料としては使いにくい。
こうした現状を踏まえ,今後は評価のための根拠資料となりうるワークシートの開発を行い,その効果を実証し,普及を試みる。本研究では,ワークシートには思考過程を反映させる機能があるという仮説を設定する。そのうえでワークシート上に反映された思考過程の変容を評価のための根拠資料として用いる。
まず29年度に開発したワークシートを小学校の低学年に実施する。そしてこのワークシートが小学校の低,中,高学年のすべてで使用可能であることを実証する。
そのうえで30年度は,3年間のまとめの時期として,28年度に開発した指導方法としての授業デザインと29年度に開発した評価方法としてのワークシートを用いた道徳の学習モデルを構築することを目的とする。

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 道徳の授業における対話をとおした児童の変容を把握するための評価方法の開発(Ⅰ)2018

    • Author(s)
      假屋園昭彦・赤崎健樹
    • Journal Title

      鹿児島大学教育学部研究紀要(人文・社会科学編)

      Volume: 69 Pages: 131,141

URL: 

Published: 2018-12-17  

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