2019 Fiscal Year Annual Research Report
Measuring the next mental age -random number generation as a working memory test-
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16K04312
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Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
板垣 文彦 亜細亜大学, 経営学部, 教授 (10203077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 玄 亜細亜大学, 経営学部, 教授 (60322658) [Withdrawn]
亀田 弘之 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 教授 (00194994)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ワーキングメモリ / 乱数生成課題 / 実行系機能 / 自我同一性 / 連続性・斉一性 / 精神年齢 / 前頭葉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は大学生の年齢差[前頭葉機能の成熟)を反映するような精神年齢尺度を、ワーキングメモリ課題の1つである乱数生成課題にを用いて構築することを目的とした。研究の初期段階では、年齢が高くなるにつれて実行系機能が低下するという予想外の現象が確認された。それは年齢の代わりに精神的成熟の指標として自我同一性尺度を用いた場合にも同様であった。このことから、研究方針を修正し、理論構成を再検討する研究を中心に研究をおこなった。自我同一性を構成する下位尺度と乱数生成課題の関連を検討した結果、自我同一性の下位尺度である「連続性・斉一性」が、実行系機能の機能不全を意味する自然数系列の生成傾向と関係している事を発見した。しかし、実際にはそれは下降系列の自然数対頻度にのみ関係しており、さらに自然数系列対の下降系列頻度から上昇系列頻度を引いた差分評価に「成熟度」評価との関連が認められた。この結果を基に自我同一性尺度を構成する4つの下位尺度ごとに上下群を設定して乱数生成課題上における評価軸を構成したところ、「連続性・斉一性」の軸評価は、ワーキングメモリ全体の優勢さに関係していることが明らかになった。しかし、大学生の下級生が上級生よりも高い値を示すという逆転現象はそのままである。自我同一性における「連続性・斉一性」以外の下位尺度は、すべて社会への適応や他者の存在を前提とした自我同一性の確立であることから、社会が個人のワーキングメモリ機能を肩代わりしている可能性、言い換えれば個人の思考停止を引き起こしている可能性が考えられる。この問題が、日本社会に特有な状況であるかどうかは今後の課題であるが、自分が所有することによって価値が上昇する「授かり効果」の日英比較をおこなった結果、日本人は所有することによる価値の上昇が生ぜず、それは自己意識の希薄性を意味しているのかも知れない。今後、国際共同研究に本格化させる。
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Remarks |
Endowment effect(授かり効果:自分の所有物に対して価値が高まる効果)に関連して自己意識の違いに関する日英共同研究をおこなった。また、平成19年から20年にかけて二国間共同研究事業(イギリス)に採用され、研究題目「ランダム生成課題を用いたワーキングメモリとその脳基盤の研究」について、主に光トポグラフィー(NIRS)装置を用いた前頭葉機能研究を共同でおこなった。
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