2018 Fiscal Year Research-status Report
目標階層理論に基づく他者志向的動機と自己志向的動機の統合の概念化と適応性の検討
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16K04313
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
伊藤 忠弘 学習院大学, 文学部, 教授 (90276759)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 達成動機づけ / 目標階層 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は実質的なデータ収集は行わず、関連文献の収集と達成動機づけの研究者や調査者との近年の研究や教育場面での実際に関して情報収集を行った。特に今回の目標階層の新しい測定法の開発に関連するものとして、「9マスシート」の使用可能性を検討した。「9マスシート」はプロ野球選手の大谷祥平選手が高校時代に自身の目標実現のために作成したということで一躍有名となった。9×9=81マスからなるシートの中心に自分の目標を書き、それを囲む8マスにその目標を実現するために必要となこと(手段)を書く(無理でもすべて埋めることが重要とされている)。次にこの中心の9マスを取り囲む8つの9マスのそれぞれ中心に先の8つの必要なこと(手段)を書き写し、さらにそれを取り囲む8マスにそれぞれの必要なこと(手段)を実現するために必要なこと(手段)を書くという方法である。このやり方は自分の目標に対する8つの手段、さらにその8つの手段という2層の目標階層を意識化させていることになる。この方法を使って目標構造の個人差を明らかにする可能性について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
学内業務(学科主任としての職務)と学会関連業務(学会誌の副編集委員長の就任)、および非常勤の他大学の授業を引き受けたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在検討を進めている「9マスシート」に基づく目標階層の測定方法を開発するための予備調査を行う。その際には、下位の手段の整合・矛盾を明らかにする仕方も検討する。検討点としては、(1)「9マスシート」の中心的な目標を個性記述的に自由に設定させるか、あるいはある程度参加者に共有されるような目標に統一するか、(2)9×9マスの2層に限定してその中で比較するか、階層の複雑性を測定できるように2層以上に広げる余地があるか、(3)これまでの研究で明らかにされたとおり、研究参加者が挙げる目標や手段の具体性をどのようにそろえて比較すできるようにるかを考慮する必要がある。最終的に、その目標階層の階層構造の複雑性、具体性、整合性の各次元を検討できるようにする必要があり、それら各次元による研究参加者の分類に基づいた事例の報告と、量的な適応的指標との関連性を見出すことを目指す。
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Causes of Carryover |
学内業務(学科主任としての職務)と学会関連業務(学会誌の副編集委員長の就任)、および非常勤の他大学の授業を引き受けたことなどによりデータ収集が滞ったため、研究参加者への謝礼の支払いが生じなかったことと、物品費によるノートパソコンの購入を先延ばしにしていることによる。次年度に同様の目的で使用する予定である。
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