2017 Fiscal Year Research-status Report
人生後期における自伝的記憶の機能-他者に語る記憶と自己を振り返る記憶-
Project/Area Number |
16K04314
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
下島 裕美 杏林大学, 保健学部, 准教授 (20306666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 正亮 杏林大学, 医学部, 助教 (80580563) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自伝的記憶 / TALE尺度 / エンディングノート |
Outline of Annual Research Achievements |
多くのエンディングノートには自分の過去の思い出(自伝的記憶)の記入欄があるが,実際に中高年の人々に話を聞いてみると思い出の記入欄は必要ないと答える人が多い。そこで本研究では,インターネット調査会社に登録したモニター450名(50代・60代・70代男女各75名)を対象に,(1)エンディングノートに自伝的記憶の記入欄は必要か,(2)自伝的記憶の必要性と自伝的記憶の機能(TALE尺度)との関係,について検討した。 調査項目 自分がエンディングノートを書く時に必要だと思う項目(健康情報,介護・看護の希望・終末期治療の希望,臓器提供の意思表示,財産一覧,遺言・相続,葬儀の希望,遺影の写真,墓・供養の希望,自分の好きなこと,特技等,これからの夢や目標,生まれかわったらどうしたいか,自分の経歴,残された人へのメッセージ・感謝,自分の過去の思い出,死後気がかりなこと・やってほしいこと,家系図,連絡先,ペットの管理,携帯電話やインターネット情報の管理,その他),家族や知人がエンディングノートを書く時に必要だと思う項目,家族や知人に読んでもらうためのエンディングノートに書くあなたの過去の思い出と記憶特性,思い出を書きたくない場合はその理由,誰にも見せない自分だけのエンディングノートに書くあなたの過去の思い出と記憶特性あるいは書きたくない理由,日本版TALE尺度(落合・小口, 2013)。 結果と考察 エンディングノートに思い出が必要だと回答したのは20%~40%であり,70代で多かった。思い出が必要だと答えた群は必要ない群よりもTALE尺度の得点が有意に高かった。思い出が必要ない理由として「過去は人それぞれの心にとどめておけばよいと思うから」「過去は過去で残しておく必要はない」「たいした思い出がない」などであり,不必要群は自伝的記憶の機能を必要とせず過去肯定が低い傾向が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査の実施が1年遅れている。H29年度に実施予定だった調査はH30年度に実施するが,研究計画の変更は必要ない。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度の研究結果より,エンディングノートにおける自伝的記憶の必要性の有無が時間的展望と関連する可能性が示唆された。そこでH30年度はインターネット調査により,ジンバルドー時間的展望質問紙(下島・越智・佐藤, 2012)と,エンディングノートに必要な項目,エンディングノートに記入する思い出との関係を検討する。また,H29年度実施調査における,他者に残すエンディングノートに書く思い出と他者には見せない自分だけのエンディングノートに書く思い出の内容分析を行い,他者に語る記憶と自己を振り返る記憶の違いを検討する。
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Causes of Carryover |
インターネット調査の実施が1年遅れているため,調査実施費用と学会発表旅費が次年度に繰り越しとなっている。繰越金はH30年度に実施するインターネット調査と学会発表,論文発表費用に使用する。
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Research Products
(1 results)