2016 Fiscal Year Research-status Report
心的表象能力の発達メカニズム-社会文化的視点からのアプローチ
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16K04327
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
辻 弘美 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 教授 (80411453)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 心の理論 / 誤信念課題 / 言語処理 / 視線 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,「心の理論」の発達メカニズムについて,社会文化と密着した言語使用によって,言語と認知がどのように作用し,発達の多様性を生み出すかについて明らかにするために次の2つの実験を行なった。
「認知コントロール」と「心的状態語」使用の因果的役割を検討する縦断研究では,縦断データ収集の対象となる3歳児に実験を行なった。また,4歳,5歳の幼児についても,同様の実験を実施し,横断データの分析を追加で実施できるようにした。横断データ分析は完了し,一部のデータについて,既に研究会で発表を行なった。平成29年度の研究成果公開の準備をし,国際学会での発表を予定している。
言語使用の有無が,「心の理論」の課題を処理する際に大きな役割を担っていると仮定し,これらの仮説を検証するために,3歳から5歳の幼児を対象として眼球運動の測定実験を実施した。実験データの収集は既に終了した。視線解析データの処理を実施しているところである。データ分析の結果を振り返り,実験デザインの修正の必要性を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の実施までに縦断研究の内容については,予備調査を十分に行なっていたことから,データ収集がスムーズに実施できた。
視線データを扱う実験のデザインと実験機器の準備に予定していた以上の時間を要したが,研究予算の前倒しなどを活用し速やかに対応できたことにより,当初の計画に沿って課題遂行ができているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
横断データに基づく実験に関しては,平成28年度のデータ分析の結果を踏まえ,データ刺激や収集方法の微調整が必要と認められた場合は,それらへの対応を行い,再度実験データ収集を平成29年度の春に実施する。
縦断データに関しては,平成28年度から平成30年度まで調査を継続する。各年度ごとに縦断データの整理を行い,データ収集完了後の速やかな分析結果の公開にむけて準備をする。
これまでの研究結果の公表として,平成30年度の国際学会発表と国際学術雑誌投稿の準備を行なう。
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Causes of Carryover |
平成28年度に前倒し支払申請をし,必要不可欠な機器の補充をおこなった。機器購入後の剰余額が次年度使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果公表のための国際学会旅費として使用予定である。
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Research Products
(6 results)