2017 Fiscal Year Research-status Report
家族療法の面接場面におけるジェンダーの配慮と活用に関する臨床心理学的研究
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16K04338
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
奥野 雅子 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (60565422)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 家族療法 / 面接場面 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
家族療法の面接場面において、ジェンダーの配慮と活用について文献研究を行ったうえで、経験のある家族療法家にインタビュー調査を行った。 インタビュー対象の家族療法家は臨床心理士であり、かつ、心理療法の中で家族療法をオリエンテーションとする専門家である。また、メインセラピストという立場で、サブセラピストを面接に参加させた経験があり、臨床経験は5年以上とした。インタビューは半構造化面接とし、70分~120分行った。 質問内容は、メインセラピストの立場からの取り組みに着目し、以下の内容で行った。1)家族療法の面接を進める上で直面した性差やジェンダーの問題についてお聞かせください。2)それらの問題について、どのように対応しましたか? 3)これまで行ってこられた家族療法を用いた支援についてどのように感じていらっしゃいますか? 4)サブセラピストとの関わり方についてお聞かせください。の4項目である。 これまで、7名の家族療法家についてのデータの分析が終了し、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを採用して行った結果、メインセラピストによる取り組みについてのプロセスを明らかにした。そのプロセスでは、メインセラピストはサブセラピストやクライエントとの関わりに相互影響を受けていることが示された。また、サブセラピストやクライエントとの性やジェンダーの差異と共通性を活かしていることが示唆された。メインセラピストは、面接のコンテクストの中で、システムを俯瞰しながらジェンダーをリソースとして活用していることが推察されたされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究を以前とは異なる側面から文献レビューを行ったため、理論的枠組みがさらに明確になった。実際、経験を積んだ家族療法家であり、臨床心理士にインタビュー調査を行い、分析を進めてきた。 また、本研究の着目点を、事例研究にも応用し研究を行うことができ、査読付きの学会誌に論文掲載となった。 さらに、国内と国外(於シカゴ)の学会で、研究発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究におけるこれまでの成果について、さらに論文執筆を行う。 メインセラピストを担当した経験のある家族療法家へのインタビューについて、もう少しデータ数を増やす予定である。現在のところ、男性セラピストに比べて女性セラピストが少ないため、特に女性セラピストに依頼する。 また、サブセラピストを担当した経験のある家族療法家へのインタビューに着手する。質問項目は、以下のように予定している。 1)家族療法の面接を進める上で直面した性差やジェンダーの問題についてお聞かせください。2)それらの問題について、どのように対応しましたか? 3)これまで行ってこられた家族療法を用いた支援についてどのように感じていらっしゃいますか? 4)メインセラピストとの関わり方についてお聞かせください。の4項目である。
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Causes of Carryover |
緊急性のある他の業務が入ったことで計画していた出張が延期となり、年度をまたいでしまったため、来年度に持ち越した。 よって、予定している出張、インタビュ調査の謝金、データ解析、学会発表などに当てる。
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Research Products
(5 results)