2020 Fiscal Year Research-status Report
治療的アセスメントに関する実証的研究:わが国への導入における課題と対応
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16K04368
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
橋本 忠行 香川大学, 医学部, 教授 (80320000)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 治療的アセスメント / 協働的/治療的アセスメント / ナラティヴ / 質的研究 / 人間性心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度から令和2年度のまでの5ヶ年計画の5年目にあたる。当初予定していた国際学会2件がコロナ禍により延期となったため、本研究計画も1年延長した。これまでの研究を踏まえ、引き続き論文投稿と著書執筆に取り組んだ。
【論文】小論「査定の結果をどう支援に活かすか?-チーム学校と協働的なコンサルテーション」が、雑誌「臨床心理学」(2020、第21巻1号、p.72-77)に掲載された。チーム学校と臨床心理アセスメントの関連を整理し、治療的アセスメントによるコンサルテーションのあり方を考察した。その中では、コンサルテーションを想定したWISC-Ⅳ下位検査結果の取り扱い方について検討した。また論文「警察少年サポートセンターにおける一回型の協働的/治療的アセスメント」(2021印刷中、日本家族学会編)では、司法分野での実践について、筆者が開発した短期型の協働的/治療的アセスメントの詳細な手続きを提示した。「非行を家族の危機と捉え、少年と家族がそれまで陥っていた不適応的なあり方から抜け出せるように、心理検査の結果について話し合う」プロセスにおける協働のあり方を考察した。 【著書】「臨床心理学スタンダードテキスト」(2021印刷中、金剛出版)の一節「15-心理的アセスメント: 11解釈・記録・報告」を執筆した。協働的/治療的アセスメントの考え方に基づき、心理的アセスメント・心理検査報告書の公的な記録と私的な対話の側面、フィードバック面接、報告書のフォーマット、解釈のプロセス(情報を個別的な理解へと翻訳する)等を具体的に提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が所属する大学では2018年度に新学科(医学部臨床心理学科)を開設し、さらに2020年度に大学院新研究科(医学系研究科臨床心理学専攻)を開設したため、その準備により研究に費やすエフォートが低下した。またコロナ禍による研究調査への影響があった。
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Strategy for Future Research Activity |
執筆に取りかかれなかった「治療的アセスメントの事例研究」について、慢性疼痛などを対象に、詳細な手続きを提示することにより治療的アセスメントの有効性を更に精緻に検討したい。また「治療的アセスメントの臨床的有効性に関する実証的研究」に関して、次のステップとしてクライエントと査定者の相互作用の分析に引き続き取り組む。
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Causes of Carryover |
令和3年度は海外での学会発表や追加機材の購入を予定しているため、令和2年度の予算の一部を繰り越した。
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Research Products
(3 results)