2019 Fiscal Year Annual Research Report
Modulation of emotional empathy by inhibition of automatic imitation and executive function tasks
Project/Area Number |
16K04378
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
佐伯 素子 聖徳大学, 心理・福祉学部, 教授 (80383454)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 共感性 / 情動伝染 / 摸倣抑制 / 実行機能 / 前頭前野活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、実行機能によるトップダウン処理や模倣を抑制することにより情動伝染や個人的苦痛を調節し,結果として共感疲労や逆転移による行動化を防止することができると考え,実行機能と模倣抑制訓練の有効性を検討することを目的とした。具体的な目的に沿って成果を述べる。目的(1)共感性と気質や特性の関連については、共感過覚醒に関わる共感性下位因子被影響性では、刺激に対して強く反応しやすく,他者の否定的情動に伝染しやすく,悲しみや欲求不満を経験しやすい傾向との関連が認められた。また、個人的苦痛に関わる自己指向的反応と低感覚閾や易興奮性,恐れ,不快,欲求不満情動性との関連が認められ、自己に影響を及ぼす可能性のある負情動への敏感さにより利己的反応が優先されるものと考えられた。(2)共感性、情動伝染と模倣傾向との関連については、摸倣傾向と共感性「被影響性」のみ関連が認められたが、他の共感性とは明確な関連が認められなかった。(3)共感性、情動伝染と模倣抑制および実行機能訓練の効果の検証については、(2)の研究結果より摸倣抑制訓練を除き、実行機能課題の一つサイモン課題を他者の痛み評定課題後に実施し、その間の前頭前野活動(NIRSによる)を検証した。安静時、サイモン課題中と比較して他者の痛み評定課題中に前頭前野活動は低下していた。安静時の前頭前野活動の活性化は他者痛み評定課題によりもたらされた情動的共感反応の可能性であると考えられた。また、サイモン課題中の前頭前野活動は安静時よりも全般的に活性化され,特に右背外側前頭前野と前頭極部(FC)の血流が増加していた。FCを含む内側前頭前野はネガティブ情動反応の制御に関わり,サイモン課題が情動的共感を調整する可能性が示唆された。(1)と(2)の研究結果は、国内学会にて公表され、(3)は公表予定である。
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