2017 Fiscal Year Research-status Report
身体医療における公認心理師の本格活用の促進:卒後養成プログラムの開発
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16K04382
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
矢永 由里子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (70523447)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 臨床心理学 / 卒後教育 / 公認心理師 / 身体科医療 / 多職種連携 / HIV/エイズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、来年度国家資格となる公認心理師が身体科医療でより貢献できるよう、卒後の人材養成のための体系だった教育のあり方について、具体的なプログラムを開発し、全国で教育を推進できる基盤を促進していくことを目的としている。 本年度は、HIV/エイズ領域の医療に焦点づけ、心理職が現場で多職種連携を実施し、患者・家族への心理臨床を発展できるようなプログラムを完成させた。具体的には、3部構成とし、1部は、「概論と基礎知識」として、心理職が他職種とコミュニケーションを取る際に必要な基礎知識や社会福祉の情報、HIVとカウンセリングの歴史の提示。2部は、「重要トピックス」として、患者に纏わる重要な課題と心理支援を提示。3部は、「心理臨床の実践」として、心理面接の進め方やチーム医療と多職種連携、在宅医療を含む地域臨床の取り組みを提示。また、この3部の学習をまとめる形で、グループワークの演習を最後に入れることとした。このプログラムを通し、心理職が、必要な情報を踏まえ、患者の課題の理解を進め、自身の臨床の取り組みを客観的に検証する機会を提供することを目的とした。 今年度は米国最大の心理学会、アメリカ心理学会(American Psychological Association:APA)の第125回年度大会にて、学会シンポジウムでHIV領域における心理職の役割について発表を行った。米国においても、患者を総合的に診るプライマリー・ケアを始め身体科領域での心理職への卒後教育がほとんど整備されていないことが、心理職の教育のなかでも一つの重要課題であるとして、学会長を交えて卒後教育のあり方が活発に討議された。体系的な卒後教育の必要性と現場の心理職のニーズを反映させた実践的な教育プログラムの重要性が再確認できる機会となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度末に、完成させたプログラムを使いトライアル研修を実施の予定だったが、全国から集まる心理職の日程の都合で、2018年4月開催の予定となった。研修のプログラムの最終調整も終了し、開催の準備は整っている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
4月にトライアル研修を実施し、その直後からプログラムの再修正を行い、全国的な実施に向けての具体的企画と実施を行う予定である。有用性が高いプログラムなので、広範囲に周知を行い、公認心理師候補の若年層の心理職の養成を全国で着手できるように準備も進めていく予定である。具体的には、研究協力者のネットワークと実績を活かし、北海道から沖縄まで、主だった地域のHIV心理臨床活動の場を中心に、研修開催のための講師も育てつつ、研修の開催を現場の心理職と共に開催していく予定である。研究終了後の継続的な発展も視野に入れていく。 また、6月アムステルダムで開催される第22回世界精神療法学会(World Congress of Psychotherapy)において、心理職の特徴を活かしたグリーフワークの発表が採択され、そこでの海外の心理療法家との心理職養成についての意見交換もプログラムに反映させたい。
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Causes of Carryover |
予定していたトライアル研修が2018年4月へ変更になったため。
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Research Products
(6 results)