2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K04387
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
金沢 吉展 明治学院大学, 心理学部, 教授 (10152779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩壁 茂 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (10326522)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 心理療法 / 終結 / 質問紙調査 / インタビュー調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大きく分けて、横断的研究と縦断的研究の2つの研究から構成されている。 ①横断的研究 海外で作成された、心理療法の終結行動と感情に関する質問紙(セラピスト版、クライエント版)について、それぞれの原著者の許諾を得た。そのうえで、バックトランスレーションを用いて両質問紙の日本語版を作成した。この日本語版質問紙を、心理療法の終結を経験したことのある、国内のセラピスト90名およびクライエントの方々26名に配布して回答を依頼した。現在のところ27名のセラピストから回答が返送されており、そのうち22名から有効回答が得られている。現在のところ、日本国内のセラピストが示す終結行動・感情は、海外のセラピストが示す終結行動・感情と類似した結果が得られている。 ②縦断的研究 実際にカウンセリングを行っているセラピストとクライエントを対象に、本研究への協力を依頼した。研究参加について合意を得られた方々を対象に、面接初期(3回目)および終結時に、セラピスト-クライエント関係、面接への評価、および心理療法の効果に関する質問紙への回答を依頼するとともに、終結時の面接の録音または録画を行っている。加えて、終結直後のセラピスト・クライエント両者を対象とする半構造化面接(終結行動と感情および終結の理由について)を行っている。また、セラピストの方々には、上記と同時期に、カウンセリングに関わる自己効力感を測定する尺度を実施している。現在のところ、3ケースについて終結後のインタビューを実施している。現在の知見としては、終結時に不安や悲しみを示すクライエントがいる一方、クライエントから達成感が示される場合もあることが示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①横断的研究 セラピスト版の質問紙については90部配布し、現在のところ27部の回答が得られている。クライエント版については26部配布しているが、回答はまだ得られていない。 ②縦断的研究 現在のところ、12組のセラピスト・クライエントより研究参加についての合意が得られている。これらのケースのうち、3ケースが終結しており、それぞれ、終結後にインタビュー調査を実施している。また、上記12ケースのうち5ケースについて終結に至るまでの面接場面を録音し、2ケースについて録画を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
①横断的研究 これまで配布した方々を対象に、再度質問紙への回答を依頼する予定である。さらに、別の方々に協力を依頼して新たな参加者を募り、回収数を増やしていく。次に、今年度において、終結に関するスーパービジョンについての研究を開始する。スーパービジョンを受けながら終結を経験した実習生または臨床心理士10名について、終結に関するスーパービジョン指導について、有益だった指導とそうではなかった指導、必要ではあったが実際には行われなかった指導、行って欲しかった指導について、半構造化面接を行い、結果を質的研究法を用いて分析する。 ②縦断的研究 心理療法のケースは、セラピスト・クライエント共に、研究参加を承諾した後、終結までに時間を要する。そのため、現在も、新規にカウンセリングを申し込まれる方々とそのセラピストの方々を対象にして、研究参加に合意を得られる方々を募っており、今後参加者が増えていく予定である。
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Causes of Carryover |
縦断的研究への参加協力者を募集しつつデータを収集しているが、現在のところ、当初の予定よりも参加協力者が少ない。そのため次年度に使用する金額が発生している。また、心理療法は開始から終結までに時間を要するため、8回以上または3ヶ月間以上の面接期間を経て昨年度中に終結したケースが予想より少ないことも理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
参加協力者の募集をさらに継続して行う。現在のところ継続中のケースで参加協力を得られているケースがあり、また、新規のカウンセリング申し込みケースもあることから、今後参加者は増えていくと予想する。
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