2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K04387
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
金沢 吉展 明治学院大学, 心理学部, 教授 (10152779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩壁 茂 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (10326522)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 心理療法 / 終結 / 質問紙調査 / インタビュー調査 / スーパービジョン |
Outline of Annual Research Achievements |
①横断的研究:前年度に作成した質問紙(セラピスト版、クライエント版)日本語版について、前年度に加えて9名のセラピストに配布して回答を依頼した。現在のところ、121部配布し、合計67名のセラピストから回答が返送され、うち65名から有効回答が得られている。結果からは、より訓練期間の長いセラピストの方が、クライエントと合意の上で終結に至ることが多いことが示唆された。 ②縦断的研究:2か所の機関において研究を行っている。うち1か所においては、現在のところ、条件を満たしたケースのうち、研究協力に合意を得られたセラピスト9名とクライエント11名を対象に、面接初期(3回目)および終結時に、セラピスト-クライエント関係、面接への評価、および心理療法の効果に関する質問紙への回答を依頼するとともに、終結時の面接の録音を行っている。加えて、終結直後のセラピスト・クライエント両者を対象とする半構造化面接(終結行動と感情および終結の理由について)を行っている。また、セラピストの方々には、上記と同時期に、カウンセリングに関わる自己効力感を測定する尺度を実施している。もう1か所の機関では、2ケースについて終結に関するインタビュー調査を行った。その結果、2名のクライエントとも終結に関して複雑な感情を有していることが示された。すなわち、一方では変化を振り返り、達成感を覚えていたが、もう一方で、セラピストとの別れに悲しみや不安も体験しており、それらを十分にセラピストに伝えられないでいることが示唆された。 ③スーパービジョンに関する研究:終結において有用なSVの方法・留意点について探るため、研究協力に合意を得られた臨床心理士・大学院生10名について、終結に関するSV指導に関して半構造化面接を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①横断的研究:セラピスト版質問紙については、概ね妥当な人数の回答が得られている。クライエント版については、多くの機関を対象に質問紙配布についての打診を行ったものの、研究協力を得られた機関が3か所のみであり、回答も現在のところ1通のみである。 ②縦断的研究:2か所の機関において研究を行っている。うち1か所においては、セラピスト11名、クライエント11名から研究協力について同意を得られた。しかし、途中あるいは最後の時点で研究参加を辞退される方々がおられるため、終結後のインタビューについては、セラピスト9名、クライエント7名の合意となっている状況である。 ③スーパービジョンに関する研究:現在のところ、予定した10名の参加者が得られている。近日中に新たに1名のインタビューが行われる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
①横断的研究:新たに得られた回答を加えて統計的分析を行う予定である。 ②縦断的研究:今年度新たに数名の協力者の方々の募集を行っている。カウンセリングの終結に要する期間がケースによってまちまちであり、いつ終結するか、ケース開始時点において予測することが不可能であるという問題がある。また、今年度末で本研究課題の助成期間が終了するため、協力者の方々への謝金支払いも考え、協力者の募集をいつ停止するかを検討する必要がある。 ③スーパービジョンに関する研究:合計11名の協力者の方々について、インタビュー内容の逐語録を作成し、質的分析を行う予定である。 ④総合的検討:上記の分析を基に、終結を有効に進める方策について検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
縦断的研究において、研究に合意をしていただける協力者の方々の人数が予想を下回ったため、謝金等の支出が当初予想よりも減額となった。スーパービジョンに関する研究の参加者が予想よりも増える見込みであることと、縦断的研究について今後若干名の協力者が予想されることから、謝金等の支出が増えていくことが予想される。また、学会に参加して発表を行うことを予定している。加えて、今後のデータ分析や研究成果のまとめ等のために、パソコン等の備品も必要となる。
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