2018 Fiscal Year Annual Research Report
The self-focused attention and the threat monitoring in social anxiety: Optimization of the intervention to attentional dysfunction.
Project/Area Number |
16K04389
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
熊野 宏昭 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (90280875)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 望 早稲田大学, 人間科学学術院, 講師(任期付) (30823364)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 社交不安症 / 自己注目 / 脅威モニタリング / 注意訓練法 / メタ認知療法 / 光トポグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,自己注目に対する介入法として提案されている「注意訓練法(Attention Training Technique: ATT)」について,社交不安症特有の自己注目に合わせたATTのプロトコルを開発し,その効果を検証した。社交不安傾向を有する大学生30名を自己注目ATT群と通常ATT群に振り分け,いずれの群においても2週間の介入を行った。通常のATTでは,複数の中性音を用いて,他の音を抑制しながら特定の音に意識的に注意を向ける訓練が行われるが,自己注目ATTでは,日常生活において注意の制御が求められる状況に近い状況で訓練を行う手続きとなるよう,抑制する音に社会的脅威刺激(話し声など)を含めた。実験参加者には,介入の前後において,社交不安に関する質問紙への回答とスピーチ課題の実施を求め,日常生活における社交不安の変化とスピーチ中の自己注目の変化の両者を測定した。なお,スピーチ中の自己注目については質問紙と右前頭極の脳活動(前年度の研究成果)の2点から捉えた。 介入研究の結果,自己注目ATT群では, 社交状況への恐怖感を測定する質問紙の得点やスピーチに関する反芻を測定する質問紙の得点が有意に減少した。一方で, 通常ATT群では, スピーチ中におけるディタッチト・マインドフルネス視点(自己の状態と他者を含む外部状況の両者を俯瞰できる適応的な状態)の得点が増加した。以上より,介入の際に用いる刺激を変えることによって,社交不安症状の異なる側面に介入効果が及ぼされることが示唆され,社会的場面に近い刺激をATTに取り入れることによって,従来のATTよりも社交状況への恐怖感を低減できる可能性が示唆された。 また,入眠時の注意制御に問題がある (睡眠関連刺激に対する脅威モニタリングが大きい) 不眠障害についても,質問紙の開発を行った。
|