2017 Fiscal Year Research-status Report
刑事裁判に付された少年に対する判決前調査制度の構築に向けた研究
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16K04390
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Research Institution | Komazawa Women's University |
Principal Investigator |
須藤 明 駒沢女子大学, 人文学部, 教授 (20584238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 吉生 日本女子大学, 家政学部, 教授 (20315716)
丸山 泰弘 立正大学, 法学部, 准教授 (60586189)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Expert Witness / 必要的判決前調査 / 情状鑑定 / コンサルテーション / 多職種チーム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究メンバーで6回の研究会を行い,情状鑑定の事例研究,日米における司法ソーシャルワークの比較検討を行った。鑑定事例では,専門性に基づくアセスメント,裁判員に対する分かりやすい説明が重要であるが,その後の鑑定人尋問における弁護人や検察官への応答の仕方によって鑑定結果の印象も変わってくる可能性があり,尋問の応答技法についても研究を深めていく必要性を確認した。 平成29年9月10日から9月17日にかけて,ドイツの司法事情を調査したほか,ウェールズ・カーディフ市で開催されたヨーロッパ犯罪学会に出席し,研究発表を行った。ドイツでは,裁判官,検察官にインタビューしたほか,主として若年者を収容する刑務所の見学を行った。21歳未満の青年層に関しては審判補助人の調査に基づき,少年若しくは成人の手続きのどちらが適当であるか,裁判所が決定するシステムになっていること,裁判官と検察官ともに青少年の処遇には教育を重視していることが分かり,大いに参考となった。ヨーロッパ犯罪学会では,日本の少年事件を巡る諸問題,特に少年法の適用年齢引き下げについて,須藤が臨床心理学の立場から,丸山が刑事政策の立場から,それぞれ研究発表を行った。ヨーロッパ諸国の専門家との有意義な意見交換もできた。 本年度中に担当した情状鑑定は,須藤が3件,岡本が1件であった。罪名は,殺人,傷害致死,強姦致傷,窃盗等であった。また,鑑定に至らなかったが,弁護士に対するコンサルテーションを須藤が3件行った。 その他,研究メンバーは,各種学会で精力的に研究発表をしたほか,日本弁護士連合会,対人援助専門職ネットワーク会議,家庭問題情報センター鑑定部研究会などの事例検討会にも参加して,さまざま専門職と本研究のテーマに関しての意見交換を重ねてきた。また,日本弁護士連合会が作成した情状鑑定に関するe-learning教材にも協力した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鑑定事例の研究は,予定の数より少なかったが,本年度中に研究員が担当した鑑定事例は計4件になっており,それらが平成30年度の研究対象となる。 予定どおりドイツの司法事情調査を実施できたほか,ドイツ出張にあわせる形でヨーロッパ犯罪学会に出席して研究発表をし,諸外国の専門家と本研究テーマに関する意見交換ができたことは,予想外の収穫であった。 研究テーマに関する理論的な考察はまだまだ不十分であり,この点は次年度の課題として残った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,本研究テーマに関する理論面の整理を進めるとともに,引き続き鑑定事例の検討を行う。 また,情状鑑定の充実や判決前制度の導入のいずれにしても,臨床心理士やソーシャルワーカーなどで構成する多職種チームが必要であるため,7月4日から同月7日にかけてアイルランド・ダブリン市で開催されるSocial Work, Education and Social Development(SWSD)にて研究発表を行うとともに,諸外国における司法ソーシャルワーカーの動向について把握するよう努めたい。 その他として,本研究の最終年度に当たるため,シンポジウムを開催し,研究成果を広く還元したいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成29年度に分担研究者の岡本研究員が所用で海外出張に行けなくなったため,次年度使用金額が生じた。平成30年度には,本研究の柱の一つになっている多職種チームによる刑事被告人の支援に関し,国際学会Social Work, Education and Social Development(SWSD)への参加を通じて諸外国の実情を把握したいと考えており,そのための費用に充てたい。
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[Book] 機能的家族療法2017
Author(s)
トーマス・L・セックストン、岡本 吉生、生島 浩
Total Pages
320
Publisher
金剛出版
ISBN
4772415785