2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study for establishing a pre-sentence investigation system for juvenile criminal trials
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16K04390
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Research Institution | Komazawa Women's University |
Principal Investigator |
須藤 明 駒沢女子大学, 人文学部, 教授 (20584238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 吉生 日本女子大学, 家政学部, 教授 (20315716)
丸山 泰弘 立正大学, 法学部, 准教授 (60586189)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多職種協働チーム / 専門家証人 / 人間行動科学と犯情評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究メンバーで5回の研究会を行い,少年が刑事被告人となった情状鑑定事例の研究を行った。特に,少年法55条に基づく家庭裁判所への移送が争点となった事例を通して,犯情の評価や保護相当性の判断に寄与する情状鑑定の在り方を検討した。研究員が当該年度中に担当した情状鑑定は,須藤が3件,岡本が1件の合計4件であり,うち少年の刑事事件は3件であった。これまでの研究で得られてきた知見を情状鑑定の作業の中でも取り入れるアクションリサーチを行い,「鑑定で分析すべき内容は何か」,「どのように裁判員や法曹関係者に説明するか」等が相当程度明らかになった。なお,岡本の鑑定事例は,精神科医と臨床心理職が対等な立場で共同鑑定を行う新しい取組であった。 学会発表では,日本司法福祉学会,日本犯罪心理学会等で各研究員が精力的に発表した。特に犯罪心理学会では,情状鑑定をテーマとした研修会が6月30日に開催され,須藤と岡本が中核的な役割を果たした。海外の学会では,7月4日から同月7日までアイルランド・ダブリン市で開催された世界ソーシャルワーク会議(Social Work, Education and Social Development:SWESD)に須藤が参加し,日本のソーシャルワーカーとの共同発表を行った。 少年の刑事事件では,少年の発達特性と生育環境が重要であり,情状鑑定にはそれらが犯罪の動機や犯行過程にどのような影響を与えるのかが求められる。発達特性については,21世紀以降,脳科学の研究が飛躍的に進んできており,こうした知見も踏まえていくことで,一般論としての少年の「未成熟性」だけではなく,虐待その他不適切な養育(maltreatment)の影響が明らかになる。情状鑑定は,生物学的要因と心理社会的要因とのダイナミズムを分析することで,より説得力のある科学的エビデンスを提供できると考えられた。
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