2016 Fiscal Year Research-status Report
傾聴を中心とした心理療法「パーソン・センタード・セラピー」の効果の検討
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16K04403
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
中田 行重 関西大学, 心理学研究科, 教授 (00243858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 祐浩 志學館大学, 人間関係学部, 講師 (10552234)
押江 隆 山口大学, 教育学部, 講師 (20634752)
大石 英史 山口大学, 教育学部, 教授 (80223717)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | パーソン・センタード・アプローチ / 固有の効果 / 質問紙 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は文献研究と質問紙作成を行った。研究者4名は別の大学に所属しているので、ウエブカメラを使った会議を主とし、2度は集まって(1度は学会の年次大会)議論し、検討した。 1. 文献研究 文献をレビューすることで、これまで断片的に示されてきたパーソン・センタード・セラピー固有の効果の指標となるものを探索した。文献としては、Rogersによるプロセス・スケール(1961)などを含む理論論文、事例研究論文、調査研究論文などを用いた。またエンカウンター・ グループや他学派の文献もレビューした。 2. 質問紙の作成 上記の文献研究をもとにパーソン・センタード・セラピーならではの効果を量的に測定する質問紙の作成を行っており、29年度に入った現在も進行中である。効果は大きく3つに分かれて測ることになった。一つはパーソン・センタードに固有の効果、次に認知行動療法の効果研究などと共通する症状ベースの効果、もう一つは、Rogersによるプロセス・スケールを測るものである。固有の効果について、①構造拘束度尺度、②心的外傷後成長尺度(PTGI-J)、③ストレスに起因する自己成長感尺度(宅, 2005)、④意味づけにおける同化・調節尺度(AAMS)、の質問項目に加え、⑤事例研究論文やフォーカシング、エンカウンターグループの論文を用いて、パーソン・センタード・セラピー固有の効果を図る質問項目の抽出、作成が終わった。 ①~④の下位尺度として反復性、傍観性、精神性、可能性、他者との関係、人間としての強さ、調節、同化などを含んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度に完成する予定だったパーソン・センタード・セラピー固有の効果を図る質問紙の作成を現在も続けている段階で、予定が遅れている。平成29年4月の段階ではパーソン・センタード・セラピーの効果のうち、固有の効果についての質問項目の抽出・作成が終わっており、次の症状ベースの質問紙、およびプロセス・スケールの質問紙の作成に取り掛かっている。作成が終わったら、因子分析を行い、質問紙を完成させる予定である。これを今年度前半9月までには終える予定にしている。 今年度の後半には面接調査の方法を完成させ、質問紙調査と面接方法のパッケージングの妥当性をチェックする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は質問性を完成後、面接調査の方法の開発、調査方法のパッケージングの理論的整合性や妥当性をチェックし、効果測定パッケージとする。 もし可能なら実際の臨床群のクライアント(神経症水準)に対してパーソン・センタード・セラピーを行い、効果測定方法のパッケージを適用する。それによってパッケージを完成させる。また、クライアントとセラ ピスト間でどのようなプロセスが進んでいるかを見るためのプロセス評定を行う。それによって平成30年度につなぐことを考えている。
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Causes of Carryover |
国際学会に行く予定であったが、研究者全員が行くことが出来ず旅費の支出が大幅に減った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は学会参加を積極的に行い、また、遅れを取り戻すために会議を積極的に行う予定である。
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