2017 Fiscal Year Research-status Report
非行少年及び成人犯罪者の再犯防止に資する処遇・教育に関する分析
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16K04407
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
森 丈弓 甲南女子大学, 人間科学部, 教授 (00512154)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 再犯 / リスクアセスメント / 処遇効果検証 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は引き続き、保護観察所と連携して成人用リスクアセスメントツールであるLS/CMIについて、成人犯罪者のデータを収集しており、順調に推移している。 非行少年の保護的因子については、SAPROFの少年版について得られた少年鑑別所のデータについて分析を行い、非行少年が有している保護的因子が少ないことを確認し、研究の進展が見られた。また、保護的因子についてはSAPROFの他に、世界的にも普及しているSAVRYを利用した研究を進めており、家庭裁判所に係属した非行少年と矯正領域(少年院、少年鑑別所に入所した非行少年)の非行少年について、調査を実施予定である。このうち、矯正領域については、一部、データの採取が可能となった。 また、家庭裁判所に係属した在宅事件の非行少年のデータと少年鑑別所に入所した非行少年のデータを結合することにより、我が国の非行少年について、より一般的な性質、傾向を把握する分析を進めている。具体的には、傾向スコアを用いて、社会内処遇と施設内処遇の効果の比較を行なった。施設内処遇には社会内処遇と比べて再犯リスクの高い非行少年が入所することから、単純な比較が困難であるところ、準実験の手法を用いてその困難さを克服した分析である。結果として、従来に試みられていた欧米の研究と結果が異なり、施設内処遇の方が再犯防止効果が高いという知見が得られた。これは我が国の少年保護法制において、効果的な施設内処遇が行われていることを示す意義のある知見と考えられる。この分析の結果の一部についてはアメリカ犯罪学会の年次大会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成人犯罪者のリスクアセスメントについてデータの採取を進めていること、司法、矯正領域の非行少年のデータに関しては、集められたデータについて具体的な分析を行い、知見を見出し、学会発表を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
成人犯罪者のリスクアセスメントについては、今後も引き続きデータの収集を進めていく。また、矯正領域の非行少年においても、複数施設からデータを採取できるよう協議を進めていく。また、さらに若年層の非行少年のリスクアセスメントについての研究も視野に入れて、児童相談所との協議を続けていく。
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