2018 Fiscal Year Annual Research Report
Proposal and Verification of Social Skills Improvement Program Using Situated Learning
Project/Area Number |
16K04416
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Research Institution | Seinan Jo Gakuin University Junior College |
Principal Investigator |
命婦 恭子 西南女学院大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (00412338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹川 大介 北九州市立大学, 文学部, 教授 (10285455)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 状況的学習 / ソーシャルスキル / 幼児期 / 社会資本 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、幼児を対象に、状況的学習を用いたソーシャルスキルトレーニング(social skills training ;SST)のプログラムを作成した。都市部に立地する商業施設である市場を、コミュニケーション能力を育成することができる社会資本と見立て、参加者がそれを活用するように誘導することで、実践の中からスキルを習得することがプログラムの目的である。 学習者が実践共同体の一部に加わりながら、その共同体の中で実践されている技術や知識を習得していく学習プロセスを状況的学習という。ソーシャルスキルの本来の学習プロセスは状況的学習によるものであるが、従来のSSTでは、専門家が学習の場を設定して学習者が特定のスキルを学ぶという学習形態が一般的であった。 プログラム内容の分析から、状況的学習を用いたプログラムは、従来の医療や教育領域でのプログラムと比較し、ターゲット行動が設定されない、明確な教示が行われないという点が特徴として挙げられた。また、従来のSSTの課題であった般化については、プログラムを通して身につけたスキルを般化するだけではなく、習得方法も般化することができるプログラムであることが示された。 また、実施内容を分析すると市場では対面でしか起こりえない働きかけが偶然になされることで、双方向的なコミュニケーションが現れており、その状況から新しいスキルを習得していることが示された。さらに、それがモデルとなり他の参加者によるスキル学習へと展開していく様子も観察された。これらのことから、地域での関係性が希薄化している都市部でも、市場という商業施設をコミュニケーション実践の社会資本と見立て、そこで実践されている相互交渉の実践共同体に参加しやすいようなプログラムを考案することによって、状況的学習を用いたスキル習得が可能であることが示された。
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