2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K04418
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
綾部 早穂 筑波大学, 人間系, 教授 (40323232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小早川 達 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究グループ長 (70357010)
小林 剛史 文京学院大学, 人間学部, 教授 (30334022)
長野 祐一郎 文京学院大学, 人間学部, 准教授 (00325870)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 嗅覚の注意 / 呼吸反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究分担者小早川が作製したニオイガス提示装置を用いて、連続提示されるニオイガスに人間がどのような嗅知覚(特に、主観的強度の時間的推移)を示すのかについて検討している。ニオイガスに対する情動価の高低にかかわらずに、主観的強度が減衰するパターン、変動するパターン、上昇するパターンが見られた。また、連続提示するニオイガスの種類を切り替えたことを検出できるかどうかについて、片鼻腔測にのみニオイガスを提示することで検討した。ニオイガスを切り替えてから、(切り替える前までの5呼吸の変動平均値と比較して)1呼吸目で変動が大きくなる場合、2呼吸目、3呼吸目、4呼吸目、5呼吸目で変動がそれぞれ大きくなる場合があり、主観的な強度変化は呼吸の変動が生じたのちに表出した。さらに、両鼻腔測にニオイガスを提示し、片鼻腔だけニオイガスの種類を切り替えた場合にも同様の呼吸変動が生じ、変動が生じるタイミング(1呼吸目~5呼吸目)には個人差が見られた。ただし、呼吸変動が見られた場合に、必ずしも主観的にニオイガスの変化に気づいたとは限らなかった。 また、視覚物体追従課題最中にニオイガスを連続提示した場合には、ニオイガスの種類を途中で変化させても呼吸の変動はほぼ観察されず、視覚的注意に認知的資源が配分されている間には嗅覚的注意は使用されにくい可能性が示された。 ここまでの知見は2017年度までに得られた知見であるが、2018年に再確認をしている過程で、呼吸反応の計測に従来用いていたサーミスターよりもマイクロフォンの方が精度が高い可能性を見出したため、上記の現象をマイクロフォンを併用して再現性を確認している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
嗅覚情報処理に関する「注意」の機能について、連続提示される嗅覚刺激に対する人間の反応を様々な心理生理学的方法により計測を試みている。当初計画していた呼吸変動を温度計(呼吸サーミスター)で計測するよりも、精度の高いマイクロフォンで計測する方法が効果的である可能性を2018年度に見出したために、2019年度に期間延長をして新しい手法で現在、研究を継続中であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目的通り、ニオイガス連続提示中のニオイの種類の変化検出について、主観的気づき(嗅覚的注意)に関する研究を、呼吸反応にフォーカスをあて(計測方法の追加)、同時に自律反応系の生理計測を継続的に行う。
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Causes of Carryover |
生理計測実験を継続しており、実験参加者への謝礼や、実験材料の購入、研究成果の報告のための旅費が必要であるため。
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