2016 Fiscal Year Research-status Report
身体・感情・感性評価に基づく多様な空間の認知と評価
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16K04427
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三浦 佳世 九州大学, 人間環境学研究院, 名誉教授 (60239176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 健太郎 九州大学, 人間環境学研究院, 講師 (30727087)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 身体性認知 / 顕在性 / 集合体嫌悪 / 空間周波数 / 絵画 / オノマトペ / 運動現象 / タイミング |
Outline of Annual Research Achievements |
感情や感性、身体性を伴う空間知覚の研究を行い、成果を公表した。計画していた4つの課題に加え、時間軸を含めた課題が遂行された。 (1)空間と価値の研究では、腕の上下運動を用いて配置されるドットは、ポジティブ画像を見た後に、その画像が顕在的に知覚される場合に限って、画面上部に位置されることが示され、空間価値と行為の関係が示唆された(Sasaki, et al. 2016)。 (2)草間彌生作品に触発された集合体の不快感に関する研究では、ドットが高密度なほど、また中周波帯域のコントラストが高い場合に不快感は増加し、その傾向は汚染嫌悪の高い人において強いことが示された(Miura, 2016; 三浦,2016)。また、直接、空間周波数帯域を操作した穴パターンに対する嫌悪感の研究では、中周波に加え、低周波領域も関係することを指摘した(Sasaki, 2016)。 (3)絵画空間の評価に関しては、駄作と名作の評価差は顕在的には示されるが(SD法)、潜在的には示されず(IAT)、接触頻度との関係が示唆された(Cho et al., 2016)。一方、絵画を知覚的な観点から考察する論考を一般誌に連載し、この分野の研究の普及に努めた(三浦,2016-2017)。 (4)運動する対象の画像情報とオノマトペの文字情報の相互作用に関しては、交差反発現象を用いて、衝突印象を与える「ゲッ」は反発知覚を増加させ、その範囲は接触前500ミリ秒前-100ミリ秒後であること、表象的慣性現象を用いて、停止に関連する「ピタリ」が対象の移動量を減少させることを指摘した(Gobara,2016; Gobara, 2017)。 (5)行為に伴う感覚の空間位置と知覚されるタイミングとの関係性を調べた研究では、行為の位置と刺激出現位置の空間的隔たりが大きくなるほど、知覚タイミングが遅れることを指摘した(山本, 2017)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた研究に関しては、国際誌ならびに国際学会での発表が行われたほか、新たに開始した研究も、国内の研究集会においても公表され、順調に進んでいると言える。 また、アウトリーチ活動として、一般誌に12回に渡り、この分野の研究紹介を行うこともできた。
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Strategy for Future Research Activity |
芸術を知覚的空間から調べる研究として、写真のミニチュア効果を用いた実験が計画されている。ミニチュア効果とは、実空間を写したにもかかわらず、ミニチュア空間のように知覚される現象で、今年度はドローンを用い、俯角の影響を調べることを計画中である。 一方、空間と感情の連合が行動反応に及ぼす影響については、上下肢間に共通する原理が存在するのかを調べるため、四肢からの反応を計測するデバイスを新たに導入し、実験を遂行するための環境整備を始めている。すでに予備的な実験を進めており、本年度は本格的に研究に入る予定である。 29年度はこれらの研究を中心に、感性、身体性を伴う空間知覚の研究を進めるとともに、それらを潜在性・顕在性、処理流暢性などの観点から、統一的に考察する流れについても検討を始める。
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Causes of Carryover |
予定では海外での国際学会出席を見込んで予算を立てていたが、いずれも国内で開催された国際学会で発表することができたため、その分の旅費が不要となった。また、実験に際して必要となる被験者謝金の出費を予定していたが、共同研究者ならびに研究協力者が自らの外部資金を使用して実験を進めたため、この予算が未使用になった。さらに、購入を予定していたパソコンならびにプリンターに関して購入を延期したことにより、予算と決算に差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度、参加を予定していた国際学会(Visual Science of Art Conference)の参加を予定している。また、購入を予定していたパソコンならびにプリンターの購入を計画している。
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[Journal Article] When a silhouette appears male: Observer’s own physical fitness governs social categorization of sexually ambiguous stimuli.2016
Author(s)
Kishimoto, R., Sasaki, K., Cobara, A., Ojiro, Y., Nam, G., Miura,K. & Yamada, Y.
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Journal Title
Letters on Evoltionary Behavior Science
Volume: 7
Pages: 17-20
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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