2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K04443
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
渡辺 由美子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (20425739)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知機能 / 認知症 / 電気刺激 / 可塑性 / 経頭蓋電気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
経頭蓋電気刺激とは非侵襲的に微弱な電流を流し、脳機能を調節する方法で、運動機能障害や認知機能障害などの治療やリハビリテーションに有効ではないかと近年着目されている。しかし刺激によって脳の神経活動や神経回路がどのように変化するか、どのようなメカニズムで機能改善が見られるのかなどの詳細は分かっていない。今後より効果的に刺激を行い、運動機能障害や認知機能障害などの治療やリハビリテーションに活用していくためには、刺激によって脳内でどのような変化が起こっているかを詳細に明らかにする必要がある。そこで本研究では経頭蓋電気刺激が認知機能に関わる神経回路にどのような影響を与えているかを解明することを目的として、高次認知機能に不可欠な大脳皮質前頭連合野と解剖学的に関連する領域に焦点をあてて研究を進めた。令和3年度は、記憶に重要な役割を果たす海馬と前頭連合野の間の神経回路が経頭蓋電気刺激によりどのような影響を受けるかについてげっ歯類モデルを用いてこれまで得られたデータの解析を中心に行った。具体的には、前頭連合野への陽極刺激では、刺激後に長期増強様の可塑的な変化が観察されたが、陰極刺激では同様の変化が観察されないなど、電気刺激の極性によって異なることが明らかになった。今後は引き続き、電気刺激が脳の神経活動や神経回路に与える影響について解明するためのデータの取得と解析を詳細に行い、研究成果を論文としてまとめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、在宅勤務が多く実験の遂行に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続きデータの取得・解析を詳細に行い、研究成果を論文としてまとめる。
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Causes of Carryover |
選定にあたり時間を要したため今年度は購入を見送った物品があった。また海外で開催される学会への参加を予定していたが、海外渡航の制限により参加しなかった等の理由により次年度使用額が生じた。次年度は研究に必要な物品の購入、情報収集・成果発表のための旅費、論文投稿費用などに使用する。
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