2017 Fiscal Year Research-status Report
初年次セミナー受講生の「ふりかえり」を基盤とした学習支援のあり方に関する研究
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16K04463
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
加藤 善子 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (90434969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 鉱三 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 教授 (20169501)
李 敏 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 講師 (30531925)
古里 由香里 信州大学, 高等教育研究センター, 助教(特定雇用) (20793095)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 初年次教育 / 学習支援 / 教学IR / 効果測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は本研究の2年目にあたり、実質的な分析を進め、研究発表にも力を入れ、論文1本、研究ノート1本、学会発表1件に成果としてまとめた。信州大学の初年次セミナーである「大学生基礎力ゼミ」で毎週の提出を課している、「ふりかえり」のデータベースを使って、初年次生のニーズが週単位で変化することや、信州大学で実施している初年次セミナーが、学生の大学での成功に有意に影響を与えていることも統計的に明らかになってきている。 この取り組みは、入学時点で初年次生のIRデータが入手できない日本においては、IRとしても機能する。学生のニーズを早期に把握し、初年次セミナーにおいて個人的に指導をすることによって、受講生が失敗をする前に軌道修正をして最初の一学期を乗り切り、成功体験を持たせることが出来ている。 セミナーや学習支援の効果測定に関する手法やモデル構築について、利用可能なデータの探索・整備と併せて取り組みを継続中である。学修支援プログラムの実地調査については、同志社大学のラーニング・コモンズとピアチュータープログラムに関するシンポジウムに出席するとともに、視察を行い(連携研究者の後閑壮登・正武田敦巳、および学生指導員1名)、本学の取り組みが先進的なものであることを確認した。来年度予定しているシンポジウム等でも発信したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の第一である初年次の「経験」の実証的構築に関しては、昨年度の成果をふまえ、本格的な分析に着手した。年度当初の計画通り、29年5月の高等教育学会で発表をした。さらに、各種学生調査の分析をすすめ、日米の学習支援・IR・効果測定に関する文献等のレビューも踏まえて、さらに発展した分析を行い、初年次生のニーズが週単位で変化することや、学修支援を提供するのに適切なタイミングが存在することが明らかになった。信州大学の初年次セミナー受講生の成績データを使って、初年次セミナーの受講が1年次の成績と、4年卒業率に有意に関連していることもあきらかになった。これらの成果は、『大学論集』(広島大学高等教育研究開発センター)と『信州大学総合人間科学研究』にそれぞれ投稿し、掲載された。 研究計画の第二である、学修支援プログラムの調査・研究については、文献研究については上記のとおり実施し、同時に同志社大学のラーニング・コモンズとピアチュータープログラムに関するシンポジウムに出席するとともに、視察を行った(連携研究者の後閑壮登・正武田敦巳、および学生指導員1名)。これに関しては、来年度、なんらかの媒体に報告できないか検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度になるので、その集大成として①大学教育学会でのラウンドテーブル(6月)、②国際シンポジウム(10月)を企画している。ラウンドテーブルは「学習支援を修成果に結びつけるための設計と運営」と題して、加藤(善)・古里に加え、学習支援の専門家・谷川裕稔氏(四国大学)、ライティング教育の専門家・井下千以子氏(桜美林大学)、認証評価の専門家・野田文香氏(東北大学)に依頼した。 国際シンポジウムには、本科研メンバーに加え、上記の谷川氏・野田氏から承諾を得ている。国外のサプリメンタル・インストラクションの専門家の調整を行っている(当初打診した研究者の予定変更により、新たな研究者に打診中である)。 大学教育学会でのラウンドテーブルでの成果は、『大学教育学会誌』に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 当初予定していた訪問調査(アメリカのディヴェロプメンタル教育研修)に、授業や校務の関係で出席できなくなったため、文献調査と国内調査に変更したことで、計画で見込んだよりも旅費が少なく済んだ。 (使用計画) H30年度請求額とあわせて、国内旅行(学会発表等)・シンポジウムのための講師招聘(国内・国外共)に使用する。
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Research Products
(3 results)