2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K04466
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
趙 卿我 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (30583140)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | パフォーマンス評価 / パフォーマンス課題 / 「活用」 / 教育課程 / 授業づくり / 道徳 / 特別活動 / 子どもの評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)韓国の一次資料による文献調査:①パフォーマンス評価に関する教育政策の現状と評価研究の動向を調査している。②日韓の小学校を中心とした実践例を分析し、パフォーマンス課題に焦点を当てて、日本の学校現場で使える学習評価システムを創出するための指針を明らかにしている。 (2)日韓の小学校における実地調査・事例分析から、実践指針の構成へ:①パフォーマンス評価に関する理論と実践の具体的な枠組みを明らかにしている。②単元構想の検討と授業場面の観察を行い、これまでに行ってきた評価規準・方法の開発がどのように授業にあらわれているのかを検討し、授業改善に繋げている。③日本や韓国の教師(特に、教科外の担当)やアクション・リサーチ校の研究者・教師にインタビューを計画している。 (3)教科外活動を中心とした「活用」の授業づくり:①パフォーマンス評価と学習記録簿との関係を示す公文書・文献を収集した。②韓国のパフォーマンス評価の理論と実践は指導改善にいかに結びついているかを明らかにしている。③授業実践をもとに、評価規準と評価方法の再検討と授業改善を検討している。 ⇒以上の研究の成果については、「特別活動の理論と評価」『愛知教育大学教職キャリアセンター紀要』、『特別活動と生活指導』「第11章第3節 「評価の方法」協同出版、オセアニア教育学会第21回大会課題研究発表、「求められる学力の内実とその育成に向けた取り組みに関する研究-韓国の事例」、『よくわかる教育課程 改訂新版』ミネルヴァ書房、『教育方法』「第9章 子どもの評価」(印刷中)、『新しい教職教育講座 教職教育編第7巻』「第8章 道徳教科における評価」(印刷中)、『現代カリキュラム研究の動向と展望』「第14章 カリキュラムの今日的課題」などにおいてまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、日韓の教育評価とカリキュラムに関する調査、研究拠点校(小学校)における研究協議会、パフォーマンス評価における研究開発と研修の提供、という3つの柱で進めている。特に、日本の新学習指導要領改訂においてもパフォーマンス評価が注目されるようになり、当初の計画以上の執筆依頼に応じて研究・授業観察(京都教育大学桃山小学校の理科、5年生)や韓国ソウル大学校師範大学附属初等学校(道徳、安全教育、5年生・6年生)のパフォーマンス課題の解決に向けた授業観察などを日韓の協力校との連携のもとで展開している。また、ソウル大学校教育研究所にてパフォーマンス評価に関する協議会(2016年10月28日、2018年3月27日)を継続に行っている。研究成果については、下記の作業を行った。 ①「特別活動の理論と評価」『愛知教育大学教職キャリアセンター紀要』第2号,2017年、pp. 51-60、②『特別活動と生活指導』「第11章第3節 評価の方法」協同出版、2017年、pp. 155-160、③『よくわかる教育課程 改訂新版』ミネルヴァ書房、2018年、pp. 154-155、④前掲、pp. 188-189、⑤前掲、pp. 190-191、前掲、pp. 208-209、⑥オセアニア教育学会第21回大会課題研究発表、「求められる学力の内実とその育成に向けた取り組みに関する研究-韓国の事例」2017年、12月3日、⑦静岡県専任教員養成講習会研修「教育評価について」平成29年12月14日・12月21日、⑧ソウル大学校教育研究所「日韓のパフォーマンス評価に関する研究協議会」参加(2018年3月27日)、⑨『教育方法』「第9章 子どもの評価」(印刷中)、⑩『新しい教職教育講座 教職教育編第7巻』「第8章 道徳教科における評価」(印刷中)⑪『現代カリキュラム研究の動向と展望』「第14章 カリキュラムの今日的課題」(印刷中)。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)韓国の一次資料による文献調査:①文献調査に留まらず、パフォーマンス評価の意義と問題点について検討し、指導改善の可能性を探る。②パフォーマンス評価の推進者である白淳根教授(韓国教育開発院長)にインタビューをし、韓国においてどのようにパフォーマンス評価が導入され、認知され、実施されていったのかを概括し、その過程でパフォーマンス評価の意義と問題点について調査する。 (2)日韓の小学校における実地調査・事例分析から、実践指針の構成へ:①授業で子どもが作り上げた作品やノート、ワークシートなどの学習成果物を継続的に蓄積・分析する。これは、子どもの学習成果の実例と対応させながら評価規準を吟味していくとともに、授業づくりの改善がどのような子どもの変化としてあらわれるかを見取るためである。②学習評価の制度・教育評価論が実践とどのように結びつき、指導の改善にいかなる効果をもたらしているかを示す。 (3)教科外活動を中心とした活用の授業づくり:①日韓での調査および前年度に蓄積した子どもの学習成果をふまえて、評価規準や評価方法の授業改善をはかり、それを活かして教科外活動を中心とした授業づくりを行う。②知識・技能を活用する必然性があり、思考が生起するような課題の文脈(実生活・真正性が高い状況)を設計するポイントは何なのかをまとめる。③協力校との連携のもと、引き続き評価規準と評価方法の検証と改善、およびそれを活かした授業づくりを進める。2年間の取り組みをまとめ、評価の改善が具体的に授業をどのように変えたのか、また、授業実践を通して評価規準と評価方法がどのように改善されたのかを明らかにする。さらに、アメリカのパフォーマンス評価に関する更なる研究・調査は、今後の課題であるため、現在は翻訳を中心に研究を進めている。
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Causes of Carryover |
日韓の教育学会参加なども含め、パフォーマンス評価に関するアメリカの文献研究及び現地調査の実施が必要になったため、次年度使用額が生じた。
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