2016 Fiscal Year Research-status Report
インクルーシブ教育における学習集団の質的発展を目指した指導法とカリキュラムの開発
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16K04471
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
吉田 茂孝 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (60462074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 裕介 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (80587650)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インクルーシブ教育 / 学習集団 / 授業研究 / カリキュラム / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、インクルーシブ教育において、障害のある子どもだけではなく、「特別な教育的ニーズ」のある子どもを含む通常学級で編成される学習集団を高める指導法とカリキュラムの開発を行うことである。その際に、インクルーシブ教授学に先進的に取り組んでいるドイツおよび日本の学習集団研究の動向を参照する。 初年度である平成28年度は、日本およびドイツの関係図書・資料の収集をはじめ、長崎県、福岡県、広島県、香川県、大阪府の小学校等の実践分析や教員が参加する研究会、サークルにおいても資料収集、意見交換を行った。年度末には小学校の先生方が参加している研究会で学習集団を質的に高める指導方法について提案し、意見交換を行った。それをふまえ、連携して研究を進めている共同研究者との情報交換会も行った。その結果、理論と実践の両方の視点から、次年度以降、インクルーシブ教育における学習集団の質的発展を考える上で重要な研究の論点を解明することができた。 なお、ドイツのインクルーシブ教育における事実教授に焦点をあてて学会発表を行った。その結果、以下のことが明らかになった。それは、インクルーシブ教育の視点で子どもたちの多様なニーズに応じることは、単に個別化を志向するのではなくて、多様な子どもたちで共同する授業を志向する、ということである。この視点から、2年目以降の課題は、インクルーシブ教育に関する授業論や教授学ついて考察することである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、学習集団の質的発展に関する国内の関係図書・資料の収集、小学校等の実践分析や教員が参加する研究会、サークルにおける資料収集、意見交換を行うことができた。また、ドイツの研究動向についても文献を収集し、分析することでインクルーシブ教育における授業づくりの視点を得ることができた。こうした内容を整理・分析し、学会発表・活字化する準備を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、文献研究とともに各地の授業研究のあり方についてフィールドワークを行い、インクルーシブ教育の視座から学習集団の質的発展の指導法とカリキュラムについて学会等で発表する。平成29年度内にはドイツへ渡航し、インクルーシブ教育を推進しているブレーメンを中心にフィールドワークを行う。また、小学校の先生方や共同研究者との情報交換会を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、次の通りである。①旅費を長崎、福岡、広島、香川へ行く費用に充て、実際にフィールドワークを行うことができたが、地元大阪の小学校教員との意見交換や研究会に行く機会にも恵まれた。その結果、費用が計画よりも少額になった。②29年度にドイツ渡航を予定している。28年度にドイツの文献も購入したが、ドイツ渡航の際に確認してから29年度に購入しようとしたため、物品費を次年度にまわすことにした。③29年度のドイツ渡航が、予定していた渡航費よりも高額になっていたため、旅費として次年度に繰り越すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度では、28年度に発生した次年度使用額は、ドイツ渡航で確認したドイツの文献を購入する物品費に充て、ドイツ渡航費としても支出する予定である。また29年度分として請求した助成金と合わせ、国内調査研究旅費として、大阪以外の小学校をはじめ研究会、学会等へ行き、フィールドワークや資料収集、意見交換を行う予定である。さらに、これまでの文献研究やフィールドワークから分析した知見を、学会や研究会等で提案する旅費として考えている。
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