2018 Fiscal Year Annual Research Report
Formation of the Perception of "Nation" in School Education Process under Japan's Colonial Rule
Project/Area Number |
16K04491
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
樋浦 郷子 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (30631882)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教育史 / 日本史 / 朝鮮史 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は最終年度であるため、補足的調査と研究全体の省察を行うよう努めた。第一に、体育史領域からの検討を深めるために、2018年6月には金誠著『近代日本・朝鮮とスポーツ 支配と抵抗、そして協力へ』に関わる研究会、同年11月にはその成果を取り入れ朝鮮史研究会例会で報告を行った。第二に、2017年に実施した釜山近郊の初等学校調査を経て必要になった補足調査を実施し、関連する報告を教育史フォーラム第42回研究会で実施した。第三に、前年度までにおおむね完了した植民地期台湾の学校に対する御真影下付に関わる調査研究の成果を、台湾において発表し、現在論文として投稿中の状態である。 この科研期間中には、継続的に「御真影」下賜をめぐる「帝国の体系」を考察、検討し、なかでも台湾に焦点を当てた。その結果として、定められた儀式手順で四大節の学校儀式を行おうとしても、「御真影」だけでなく教育勅語謄本の下付も実施されていない学校が植民地には存在したことを明らかにした。このことを通じ、具体的な儀式手順からの「不可避的な逸脱」ともいうべき様相を一定程度は明らかにできた。 期間中の検討を通じ、残された課題が二点ある。一点目は上に述べた「不可避的な逸脱」の状態が、「民族」(nation)の形成とどのように関係するのかということへのさらなる検討、二点目は、教育機会の男女格差への着目と考察を十分に遂行できていないことである。これらは、次期の研究(課題番号19K02493)において継続する予定である。
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