2018 Fiscal Year Annual Research Report
Citizenship and moral education based on the "School as Social Center" in the early 20th century America
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16K04496
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐藤 隆之 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60288032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 健市郎 関西学院大学, 教育学部, 教授 (50229887)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ソーシャルセンターとしての学校 / コミュニティ・センター / 道徳教育 / 市民性教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、デューイが構想したソーシャルセンターとしての学校の理論と実践を検討した。それは、大人を対象として、貧困や人種といった今ある社会問題を解決できる市民の育成と、子どもを対象として、その解決に将来的に貢献できる市民の育成を、同時に達成しようとする学校であったことを明らかにした。コミュニティに生きる子どもと大人が、学校を協働してつくり、利用することが社会変革の第一歩となり、民主的社会を担う市民育成の基礎となる。そのような学校は、「社会的セツルメント」と「萌芽的コミュニティ」に基づいている。第二に、バージニア州を取り上げ、社会的セツルメント型ソーシャルセンターとしての学校における道徳教育としての市民性教育の一端について考察した。公立学校をソーシャルセンターとすることを一つの目的とするバージニア州協同教育協会においては、コミュニティの産業や生活を司る各局と連携・協力しながら公立学校の普及や改善に努めるコミュニティ連盟という体制が整えられていた。そのような公立学校が「コミュニティ・センター」あるいは「ソーシャルセンター」と呼ばれ、学校に通う子どもと近隣住民がともに道徳を身につけ、 構成員にふさわしい市民になれるようにした。第三に、ソーシャルセンター運動の歴史的評価をめざした。この運動に当初から深くかかわり、1920 年代以後も指導的地位にあったクラレンス・A・ペリーに着目し、1920 年代以後も継続している点と変質した点を探った。1920 年代には、学校施設開放運動は、二つに分裂していた。一つはコミュニティ・センター運動であり、それは民間団体が主導するリクリエーション運動に吸収され、学校教育との連携を絶った。いま一つは、教育委員会の管理のもとで公立学校の校舎を地域住民に開放しようとする運動であり、リクリエーションが学校教育のなかに導入されていた。
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