2016 Fiscal Year Research-status Report
戦後改革期における女性の大学教育の確立とその特徴‐共学大・女子大並立の視点から
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16K04498
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
湯川 次義 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60188026)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 男女共学 / 女子大学 / 大学統合 / 家政学部 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、戦後教育改革期に初めて成立した女性の大学教育について、共学大学と女子大学の2系統で成立した点が歴史的特性であったとの仮説を設定し、①CIEや文部省の政策、②男子系高等教育機関の共学大学化過程、③女子大学の成立過程及び理念・学部・学科組織に見られる特徴、の3点を総合的に考察し、その特徴と意義を究明することにある。このような研究を進めるため、本年度は以下のような資料の収集・分析と論文の執筆を行った。 ◆資料調査・収集=国立国会図書館、国立公文書館、学習院アーカイヴズ、首都大学東京総務課、名古屋市市政資料館、名古屋市議会図書館、京都府立総合資料館、京都府議会図書館、同志社社史資料室、大阪市公文書館、大阪市議会図書館、奈良県議会図書館、奈良女子大学図書館、武庫川女子大学、広島大学文書館、広島県公文書館、野間教育研究所などで資料調査・収集を行った。この他、科研費以外の早稲田大学の研究費により、東北大学史料館でも資料調査を行った。また、収集した資料を整理・分析した。 ◆論文の執筆 ◇「戦後教育改革期における公立女子専門学校の共学大学化に関する研究 -男子系高等教育機関との統合過程と専門領域に着目して-」PP.87~105。『早稲田大学教育学研究科紀要』第27号、2017年3月。◆「1946年以降の国立女子大学の設立過程に関する一考察 -教育目的と学部構成を中心に-」pp.31~49。『学術研究(人文科学・社会科学編)』(早稲田大学教育・総合科学学術院)第65号、2017年3月。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したように、国立国会図書館、国立公文書館で全体的な政策文書や 個別大学(女子大学・共学大学)の設立認可申請書をほぼ悉皆的に調査した。また、個別大学の設置関係文書について、公立女子専門学校の女子大学化、共学大学化についての議会での議論や公文書を収拾できた。 これらの資料調査により収集した資料には、本研究の目的である共学大学化過程と女子大学の設立過程を実証的・総合的に研究するために重要な資料が含まれており、従来の研究では明らかにされていない新たな成果を示すことができた。 さらに、上記論文以外に、実際は2017年3月に発行した早稲田大学教育学研究科の湯川ゼミの論集『日本教育史論集』第3号に「戦後教育改革期における公立女子大学の設立過程 -教育理念と学部・学科組織を中心に-」20)を執筆した。 また、公刊した論文以外にも、同志社が共学大学と女子大学を併置した理由、青山学院が共学大学と女子短期大学を併置した事実についても、研究論文を作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も、昨年度と同様な資料調査・収集を行うとともに、複数の論文を執筆する。資料調査先としては、東北学院大学、青山学院大学、明治大学、慶應義塾大学、上智大学、神戸薬科大学、大阪府立大学などとともに、津田塾大学、和洋女子大学などを予定している。 また、論文としては、同志社と青山学院における共学系大学と女子大学の併置に関するもの、1950年までに設立された女子大学全33校を対象とした教育目的と学部・学科組織に 関するものを予定している。 これらの研究を進め、研究を著書としてまとめる準備を行う。
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Causes of Carryover |
購入しようとしていた大学沿革史などの「古書」が販売されていなかったことなどを理由としている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定以外の大学沿革史や研究書を購入する。
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