2017 Fiscal Year Research-status Report
イギリスにおける中等教員養成改革に関する歴史的研究
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16K04501
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
本多 みどり 帝京科学大学, 教育人間科学部, 教授 (00342329)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イギリス教育史 / 中等教員養成 / 教育学教授 |
Outline of Annual Research Achievements |
19世紀イギリスにおける中等教員養成のプロトタイプ形成過程を研究するため、カレッジ・オブ・プリセプターズ(COP)の議事録、およびCOPの中心的メンバーであったジョゼフ・ペインの著作・日記等の調査を行った(ロンドン大学IOEにおける史料調査・撮影・整理等)。また、COPが発行していたEducational Timesの分析を通じて、COP内における中等教員養成に対する一般的コンセンサスについて調査した。その上で、ペインの教員養成理念を、同氏の講義内容等から分析、ペインとは敵対関係にあったC.H.レイクの考え方を彼の講義録、雑誌寄稿文等から調べ、両者を比較検討して分析を行った。ペインとレイクは、両者とも学校長で教育実践の成果への関心が非常に強い人物であったが、ペインがイギリス初の「教育学」教授に就任する頃には、両者に見解の相違、というよりも、教師養成のための教育内容における重心の中身について、やや相違点がみられた。ペインは、教授就任に際して、教育史(教育史上の重要人物の思想・実践の内容紹介と分析)に関する講義をかなりの長さで行っていた。これに対して、レイクは教育的実験を学生たちに行い、その分析を通じて、より効果的な教育のあり方を経験的に検討するという科学的分析法に主眼があった。両者の教員養成観に大きな差が見られない事から考えて、両者の確執は、おそらく、初の教授就任をめぐる政治的要素が強いものと考えられた。ペインが教授就任の際、理事会における選挙が行われ、その選挙において女性理事会メンバー(バス・ドレック)が果たした役割が大きいことが確認された(COP議事録))。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
史料調査は、ほぼ予定通り進捗しているので、おおむね順調に進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、史料の分析を計画通り行い、また、エクセター大学のWendy Robinson教授(イギリス教員養成史が専門)を日本に招き、研究主担者が所属する大学において、研究会(教員養成史の日英比較、予定タイトル「教える力とは何か)を2019年3月に開催する予定である。
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Causes of Carryover |
主に、最終年度において、ロビンソン教授を日本に招へいし、研究会を行うため。
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