2019 Fiscal Year Annual Research Report
Historical Research on the reformation of secondary teacher education in England
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16K04501
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
本多 みどり 帝京科学大学, 教育人間科学部, 教授 (00342329)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イギリス / 教育史 / 中等教育 / 教師養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
イギリスにおける中等教員の近代的教職改革は、主にCollege of Preceptors(COP、1846年創設)に集結した中産階級学校の教師の手で本格化した。主要なCOP研究者はチャップマン(通史)とオルドリッチである。後者はCOPにおいて「教育学教授」に選ばれたJ.ペインに焦点を当て、そのイギリス教育史への正当な定位を試みた。本研究はオルドリッチを批判的に継承し、[研究方法]で述べた通り、COP議事録、COP創刊のEducational Times(ET)を通覧することによってメンバー全体の意見を概観し、急進派の主張の相対化を試みた。その結果、教育の科学という言葉が、1840年代には教育の哲学的知識という意味で使用されていたこと、その後、同語は見出しに現れず、1870年代に急激に変化、ペインとC.H.レイクにより「心理学を基礎とする専門的学問としての教育科学」という意味で用いられ、「教育の科学」が教職科目として定着したこと等がわかった。ただし、ペインの「人間の本性に基盤を置くペダゴジーとしての教育の科学」、レイクの「動物行動学の中に定位される厳密な知としての教育の科学」という主張は、現代でも未解決の、教育学の学的規定に係る根本的対立を含んでいた(2019年教育史学会紀要第62集掲載)。 教師養成の場に関する議論は、1848年に大学の果たすべき重要な役割を論じた記事があるが、その後停滞、1870年代に急進展。ケンブリッジに教師養成シンジケートが設立され、1880年代に英国初の女子中等教員養成カレッジが創設された。COPが独自に創設した男子中等教員養成カレッジは経済支援なく数年後に閉鎖、中等教員養成の場としては大学に設けられたトレーニング・カレッジが一般化した(2019年3月教師養成史家W. Robinson氏等を招聘し研修会を実施。博士論文申請手続き中)。
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Research Products
(2 results)