2017 Fiscal Year Research-status Report
大学教養科目の大人数授業におけるペアワークの試みとその有効性の検証
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16K04504
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
大矢 芳彦 名古屋外国語大学, 外国語学部, 教授 (30175252)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | ペアワーク / 大人数授業 / スマートフォン / 教養科目 / moodle |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年後期に受講者数100名の応用科目(2年生以上対象)の授業「地球環境と災害」2クラスにスマートフォンを利用したペアワークの実践授業を試みた。 実験授業ではあらかじめ乱数によってペアを決め、それに基づいて座席を指定した。授業内容は地球温暖化問題で、学生にメモ用紙を配布したあと、スライドを見せ、必要に応じて板書しながら30分間の通常授業を行った。その後、会話内容を録音するためICレコーダを配置し、初めて会話を交わす学生も多いため、5分間の自由会話の時間を設けた。自由会話のあと、試験についての説明をし、スマートフォンによるmoodle上にある4択式19問と記述式1問の問題をペアで相談しながら解答させた。所要時間は20分とした。全員が解答終了したのを確認し、マークシートによる事後アンケートを行った。事後アンケートは4択式40問と自由記述式1問でマークシート用紙を利用した。 発話分析、事後アンケートを中心に分析を行った結果、①一人当たり平均で約87回の発話数がありペアワークが順調に遂行されたこと、②事後アンケートによると、通常授業と比較して「楽しかった」、「身になった」、「集中できた」などの肯定的な感想が80%を超えており、今回の手法が多くの学生に好意的にとらえられていたこと、③スマートフォンを使用した授業については88%の学生が好意的であったこと、④moodleの利用についても学生の84.2%が肯定的であったが、楽しさについては76%とスマートフォンと比較すると肯定的見解が10%以上低いこと、⑤自由記述の結果からも「楽しい」「良い」などの肯定的な単語が多くみられ、また「新鮮」「初めて」「面白い」などの言葉が多くみられることから、今回の授業は多くの学生にとって新鮮で楽しく面白かったという感想をもってとらえられたと思われること、などが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前期に大人数授業がなく後期に実験授業を行うことになり、データ分析などの時間的余裕はなかったが、年度末までに結果の概要だけはまとめることができ、当初の4年間の研究計画にほぼ則して研究が進んでおり、研究の進捗状況はおおむね順調に進展してるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後平成29年度のデータを詳細に分析し、その結果をもとに、実験授業内容およびペアワークの手法について再検討を行い、ペア組み合わせ方法などを含めたより学習効果や学生の満足度の高い大人数授業におけるペアワークの手法を確立していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画では前期(4月~7月)に実験授業を行い、秋から冬にかけてデータ分析を行い随時学会発表を行う予定であったが、カリキュラムの関係で実験授業が後期(11月)に行われたため、当該年度中にデータ分析および学会発表が十分に行うことができなかった。したがって、旅費および人件費・謝金の出費は当初予想していた金額より減少した結果となり余剰金が生じた。 次年度においては予定よりもデータ分析を早め、また学会発表の回数を増やすことにより予定通りの予算遂行が行われると思われる。
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