2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K04507
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
安藤 輝次 関西大学, 文学部, 教授 (70143930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 義久 四天王寺大学, 教育学部, 准教授 (70734523)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 形成的アセスメント / フィードバック / ルーブリック / 達成ポイント / 他者評価 / 学習課題 / 自己評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学び手が学習課題に主体的・対話的なアクティブ・ラーニングをし、達成レベルを記したルーブリックに照らして学びの出来・不出来を確認し、不出来を出来るようにする形成的アセスメントの授業法を小中高大に適用し、方法を創造するものであり、本年度は、次のような研究を行った。 第一に、形成的アセスメントの大学の専門家を招き、本研究の代表者及び分担者の所属大学等(他大学1校を含む)の講演会を通して授業改善の示唆を得るとともに、インターネットを通した学生のルーブリックの内面化に関しては本研究の先進性を確認できた。 第二に、形成的アセスメントの小中校の専門家を招き、本研究の代表者及び分担者が連携する小学校や幼稚園で授業参観や講演会を通して、助言を得るとともに、授業の最終段階で優れた他者評価を介した自己評価を据えている点で本研究の独自性と有効性を確認できた。なお、中高の講演会は福井豪雪のために中止し、代替として幼稚園で形成的アセスメントの土台となる成長マインドセットに関する講演を開催し、今後の普及に役立てた。 第三に、研究代表者は、形成的アセスメントの授業法とその核となるフィードバックに関する学会発表を行い、研究分担者は、教師主導と子ども主導の橋渡しとなる2人1組のペア学習による形成的アセスメントの授業を小・中学校で行い、成果を学会で発表した。 第四に、研究代表者は、形成的アセスメントを適用した授業法についてハンドブック『評価の活用による深い学びの主体的創造』を作って、小中高で普及しようとしてきたが、そこでの成功例や失敗例に学んで『みんなで「深い学び」を達成する授業-形成的アセスメントで子どもが自ら学びを把握し改善するー』と題する図書を出版した。なお、ルーブリックは、普通レベルの小中高の子どもには内面化が難しく、活用できないので、より簡潔な達成ポイントを採用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画より進捗しているのは、次の2点である。 第一に、研究成果の中間報告を論文化する予定であったが、形成的アセスメントによる深い学びの全員達成の授業法に関しては、図書出版をして、一般に普及させる手立てを講じることができた。 第二に、連携校の小中高の授業を参観して痛感したのが、前述の図書でも指摘しているように、2人1組のピア学習・評価の導入であった。本研究では、研究分担者は、形成的アセスメントにおけるピア学習・評価の導入法の実践的研究に着手した。 そして、研究計画通りに実施できなかったのは、次の2点であった。(A)連携している小中高の授業者による合同会議を開催するとしていたが、奈良と福井という遠距離もあり、各学校の都合のつく日時の設定も難しいので、代替として、教師用ハンドブックを作成して、こちら側の趣旨や授業実践から学んだ授業法の浸透を図り、その他の点については、こちら側からメール等で伝達したので、支障は生じなかった。(B)成長マインドセットの調査は行ったが、それと授業法との関連付けが出来なかった。というのは、成長マインドセットで明らかになった傾向性をいかにピア学習で生かすのかという授業モデルを描けなかったからである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、本研究の最終年度であり、成果の取り纏めを行わなければならない。研究計画に沿っていえば、形成的アセスメントにそった授業法のうち、見える化できる方法・技術を冊子にまとめ、その一部をインターネット上で公開するものである。ただし、当初予定していたQRコードによる授業ビデオの公開は、大学当局と交渉した結果、特別な設備が必要であり、恒常的に設置することは難しいので、断念せざるを得なかった。 とは言え、その他の点では、当初の計画より進捗しており、日本カリキュラム学会では課題研究で発表する予定である。そして、次に示すように、新たに展開に向けて努力中である。なお、ペア(pair)学習・評価は、2人1組の評価であり、ピア(peer)学習・評価は、ペア評価を含めて、それ以上の人数までのグループを指す意味である。 第一に、平成29年度に続いて、研究分担者は、連携校でピア学習・評価の実践的検証を行うが、その研究デザインに関わって、研究代表者は、欧米のピア学習・評価に関する文献研究を始めており、本年9月には学会発表をするとともに、論文として刊行する予定である。 第二に、これまでのピア学習の実践研究の結果、出来る子どもが出来ない子どもを教える時、出来ない子どもは、学びが大きく伸びるが、出来る子どもは、それほど顕著な伸びが見られない。実は、これは、欧米でも同様の結果が出ているが、出来る子どもは、自己有用感が伸びているのではないかと言う仮説を持って、実践的に検証したい。また、出来ない子どもは、成長マインドセットがアップしている点についても検証したい。これができれば、国際的にみても、意義深い研究になることが期待される。
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Causes of Carryover |
研究分担者は、昨年度中に高等学校での授業研究を計画し、当該高校並びに授業者にも了承を得ていたが、実施校の予期せぬご都合により、「年度内完了が困難になった。そこで、平成30年度は、別の口頭学区において授業研究を実施する了承を得た上で、本実践に係るビデオ撮影およびビデオ起こし、アンケート調査の集計作業等に係る経費として、昨年度の繰越金約15万円を執行する計画である。
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Research Products
(7 results)