2017 Fiscal Year Research-status Report
〈音楽家の耳〉トレーニングと『聴覚』の敏感期の音楽基礎教育「聴く活動」の構造化
Project/Area Number |
16K04512
|
Research Institution | Elisabeth University of Music |
Principal Investigator |
田中 晴子 エリザベト音楽大学, 音楽学部, 准教授 (00573081)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉谷 千晶 青森明の星短期大学, 青森明の星短期大学, 准教授 (20299754)
吉田 直子 奈良佐保短期大学, その他部局等, 講師 (90754317)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 音楽基礎教育 / 聴く活動 / 〈音楽家の耳〉トレーニング / 発見の構造 / 『聴覚』の敏感期 / 幼児期の音楽活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、幼児期の音楽活動において「聴くこと」を重視し、自ら音楽の流れを捉え、「音楽する」ための基礎教育プログラムを哲学者B.ロナガンの「発見の構造」を参考に構造化し、開発することである。 平成29年度は、海外(フランス)事例の視察・資料収集の実施を予定していたが、国内における事例・資料の収集で十分と判断し、研究分担者らと共に国内の各種学会(日本音楽表現学会、日本モンテッソーリ協会(学会)、日本ソルフェージュ研究協議会)に積極的に参加し、事例、および資料の収集を行った。 実践研究としては、幼児教育現場での「聴く活動」を既に過年度より研究協力者の園で実施し、軌道に乗っている。同じく昨年度より同園で「聴く活動」を経験した卒園生を対象に追跡調査を開始し、「聴く活動」を実施しているが、実施対象学年も増え、軌道に乗っている。いずれも引き続き月に1度実施し、映像による記録を撮り分析をしている。継続して「聴く活動」を実施し、追跡調査を行う中で「教える」のではなく対象者自らが積極的に音楽を捉えることを「援ける」方法が構造化されつつあり、その重要性が浮き彫りとなっている。また、引き続き研究分担者の保育者養成校の学生を対象に「聴く活動」を実施し、映像による記録を撮り分析するとともにアンケート調査を行った。 教材研究としては、「聴く活動」で使用する楽曲選曲を継続して行っている。 研究経過の発表として、エリザベト音楽大学研究紀要にて保育者養成校で実施した「聴く活動」の実践研究報告を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度では、幼児教育現場における「聴く活動」の実践と卒園生の追跡調査としての「聴く活動」をそれぞれ月に1度継続的に行っていること、更に保育者養成校での実践など実践研究の面では順調に進展していると言える。一方、研究協力者であるモンテッソーリ教育関係者の協力を得てB.ロナガンの「発見の構造」の研究を進める予定であったが、協力者急逝のため十分に進んだとは言えない。 打楽器の提供法については、研究協力者の園の保育者とのディスカッションの中で、その必要性がうかがわれるような発言が出てきており、保育者との勉強会を計画しているものの実施に至っていない。 よって、総合的に見て、やや遅れているとの評価とする。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、引き続き研究協力者の園での「聴く活動」の実施、卒園生の追跡調査としての「聴く活動」の実施、保育者養成校での「聴く活動」の実施を継続しつつ、新たに得た協力者の協力を得ながらB.ロナガンの「発見の構造」を参考にし、「聴く活動」の構造化を進めていく方針である。 打楽器の提供法についても、「聴く活動」の構造化とのバランスをとりながら、勉強会の実施を検討する。 また、3年間の研究報告に併せて、海外の音楽基礎教育現場の指導者を招き特別講演を伴う公開講座を実施する方向で検討する。
|
Causes of Carryover |
(理由)海外(フランス)事例の視察・資料収集を実施するために旅費を計上していたが、国内においての事例・資料収集でも十分な成果が得られると判断したため。 (使用計画)3年間の研究報告に併せて、今後実施を計画している特別講演を伴う公開講座に海外の音楽基礎教育現場の指導者を招き、「聴くこと」を重視した音楽基礎教育のあり方についての講演、公開講座、「聴く活動」との比較、共通点などについてのディスカッションを検討しているため、その招聘旅費として使用予定。
|
Research Products
(1 results)