2018 Fiscal Year Research-status Report
イギリスにおける中等教育試験の成立-高大接続の視点から
Project/Area Number |
16K04513
|
Research Institution | Hiroshima Jogakuin University |
Principal Investigator |
中村 勝美 広島女学院大学, 人間生活学部, 教授 (40310924)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 中等教育修了資格 / 高大接続 / 学士課程教育 / 学力評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、昨年度に引き続き、研究課題に関連する先行研究のサーベイを行うとともに、イングランドを中心とする中等教育修了試験の概要について調査研究を行った。新しく刊行された文献を収集、研究動向をフォローした。 第二に、ロンドン大学による中等学校査察について、前年度の調査渡英時に収集したノース・ロンドン・コリージェト・スクール関連資料を分析した。 フランシス・バスが1850年に創設した同校は、イギリス女子ハイスクールのモデルとなった先駆的学校であり、男子と同等のアカデミックなカリキュラムを提供した。学校調査委員会(トーントン委員会)を契機として女子教育改革は進展し、大学地方試験への参入や学位取得が奨励されるにつれ、女子教育の量的な側面だけでなく、質的向上にもより一層関心が払われるようになった。こうした背景から、同校はロンドン大学による学校査察を実施したのであり、その意義と実際、他校への普及の限界点について考察し、紀要論文として発表した。 第三に、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン国際教育史研究センター(The International Centre for Historical Research in Education (ICHRE) at the UCL Institute of Education (IOE), University College London)、センター長である Gary McCulloch教授を招へいし、研究会を開催した。McCulloch教授による講演会(テーマCurriculum and Examinaitons in English Secondary Schools, 1914-1944)、研究計画に対するレビュー、イギリス教育史研究者との交流及び意見交換を行うことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は外部団体が実施する学外試験の意義と問題点を探るため、各学校のシラバスに基づいて学内で実施される学校査察について、資料からその内容、方法等について明らかにし、論文をまとめたほか、イングランド中等教育史の権威であるMcCulloch教授を招へいし、研究会を開催することができた。19世紀末から20世紀初頭のイギリスの中等教育政策及びスペンス報告書、ノーウッド報告書の位置づけについて新たな知見を得た。 しかしながら、西日本豪雨災害によって研究棟が被災したため、新たな在外調査をすることができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度、不測の事態により実施できなかった在外調査を夏季に実施する。具体的には、学外試験団体の資料調査をロンドン大学文書館、ロンドン市文書館で予定している。必要があれば、冬季または春季に追加の調査を実施する。
|
Causes of Carryover |
McCulloch教授の招へいに関して、当初イギリスからの旅費を予定していたが、教授が別件で東京、上海を訪問中の期間に研究会を開催することとなったため、海外旅費が国内旅費となった。 また、イギリスでの調査研究のため海外旅費を予定していたが、豪雨災害時に研究棟が被災し渡英を見合わせたため、研究費に未使用額が生じた。 これら予測できない事態が生じたため、研究計画の延長を願い出たところ、延長が認められたので、今年度、イギリスでの研究調査を行う予定である。
|