2017 Fiscal Year Research-status Report
ベルリンの就学前施設における道徳教育改革の今日的動向に関する総合的研究
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16K04532
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 武男 筑波大学, 人間系, 教授 (40247945)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 道徳教育 / ベルリン / 就学前 / 幼児教育施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベルリンの幼児全日施設における道徳教育改革の今日的動向を解明するために、平成28年度の実績をふまえて平成29年度も引き続いて、文献研究と現地調査を並行して行った。 文献調査としては、日本の場合、平成30年度施行に向けて、平成29年において新しく告示された幼稚園教育要領をはじめ、同じく新しく告示された保育所保育指針や幼保連携型認定こども園教育・保育要領が公表・普及され、それに対するさまざまな解説書や論稿によって評価が定まりにくいために、大枠の把握にとどめ、研究の効率性を考えて、詳細な研究は少し延期することにし、その研究は平成30年度に行うことにした。そのうえで、ドイツ、とりわけベルリンを中心に公表されている最近の資料を収集し、分析を行った。 また、現地調査としては、日本の施設については、平成30年度に新しい方針で施行されることをかんがみて、平成29年度の研究としては控えることにし、平成30年度に効率的に行うことにした。それゆえ、現地調査は、ドイツ、とりわけベルリンにおいて実施した。ベルリンだけのことではなく、ドイツ全体についても言える傾向であるが、幼稚園が次第に減少し、それに代わって幼児全日施設が急増している。しかも、現地のマスコミ記事によると、その保護者たちのニーズも高く、幼児全日施設が設立されても、その数が追い付かない状況である。そこで、ベルリンに点在する公立の幼児全日施設の一つを訪問し、幼児教育・保育の状況を観察するとともに、教育者・保育者にインタビュー調査を行った。 なお、その施設については、平成30年度も訪問し、継続して研究に協力してもらえることになっている。また、今回の現地訪問の成果として、30年度の現地訪問の際には、ベルリン全体の幼児全日施設を管轄する責任者の一人にインタビューできることになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベルリンにおける幼児全日施設の実践の特徴を明確にするために、最近の日本の施設を比較対象にしようとしていた。ところが、日本の場合、平成29年において新しく告示された幼稚園教育要領をはじめ、同じく新しく告示された保育所保育指針や幼保連携型認定こども園教育・保育要領が公表・普及されたものの、それに対するさまざまな解説書や論稿があって、確実な評価を見極めることが難しくなった。そのために、研究の効率性を考えて、詳細な研究はさらに1年延期することにし、その研究は平成30年度に効率的に行うことにした。それに対してベルリンの現地調査については、おおむね順調に進めることができた。たとえば、文献調査については、ベルリンの最近の動向を把握するための資料を収集できた。また、現地の施設訪問も実現できるとともに、平成30年度の調査協力についても承諾を得ることができた。さらに付け加えるならば、平成30年度の現地調査では、ベルリン全体の幼児全日施設を管轄する行政責任者の一人にインタビュー調査できることになった。 ただし、ベルリンの現地調査が平成29年度末になったために、研究成果の一部は、研究誌において公表することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、平成28年度と平成29年度において十分にできなかった日本の現地調査を平成30年度に効率的に行う。 そのうえで、ドイツのベルリンの現地調査については継続して行う。できれば、これまでに訪問したベルリンの幼児全日施設以外のところにも現地調査に入りたい。また、ベルリン全体の幼児全日施設についても調べたいので、幼児全日施設を管轄する教育行政期間も訪問し、調査を行うつもりである。さらには、ベルリン市以外の場所の施設も訪問し、ベルリンの動向を相対的な視点からも把握したい。 文献調査については、以前のものと新しいものを比較しながら、その動向を探る。特に、ベルリン市の教育委員会が公表している資料については、綿密に収集するつもりである。
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Causes of Carryover |
一つの指標にしようとしていた日本の幼児施設の研究を意識的にあまり進めていない。その理由は、日本の場合、新しく改訂された幼稚園教育要領が平成29年3月に公示されたものの、全面的な実施が平成30年度からとなるため、現地調査を自重したからである。また、これまで収集した研究資料が十分に整理する段階まで進められなかったことや、ドイツの現地調査において支援してもらう通訳者などを雇用しなかったために、人件費を使用するに至らなかったからである。さらに言えば、コンピュータ1台を購入する予定であったが、研究に使用できる状態にセッティングする時間と余裕がなく、そのまま既存のコンピュータを使用し続けているからである。 平成30年度に日本の幼児施設の現地調査を実施する。具体的には、ドイツの幼児全日施設に近い幼保連携型認定こども園を想定している。前年度まで収集した研究資料を整理するとともに、さらなるドイツの幼児全日施設の現地調査のために、人件費を使用する。また、コンピュータ1台を購入し、使用できるような状態にセッティングするとともに、ドイツの幼児全日施設に関する資料を分析する。これらの作業を行いながら、平成30年度を効率的に使用したい。
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