2018 Fiscal Year Research-status Report
教育行政の政治的中立性・安定性・継続性に関する理論的・実証的研究
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16K04536
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 祐介 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (00423434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻原 克男 北海学園大学, 経済学部, 教授 (70242469)
島田 桂吾 静岡大学, 教育学部, 講師 (20646674)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 政治的中立性 / 安定性・継続性 / 教育と政治 / 教育行政 / 教育制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は理論的・実証的両面からの検討を引き続き行うとともに、一般向けも含めて研究成果を発信することに重点を置いて研究を実施した。 (1) 2017年度に実施した、教育委員会制度改革とその後の運用実態に関する市区町村への首長・教育長調査については、研究成果と調査結果の概要を所属機関の研究科紀要にて公表した。調査によれば、教委制度改革によって首長の影響力が強まったと感じている首長、教育長は過半数を超えていた。また、総合教育会議の設置など今回の改革については比較的評価する見解が多かった。ただし、自治体の規模により評価の違いが多少みられ、大規模自治体ほど今回の改革の意義を感じている一方で、小規模自治体では肯定的な評価がやや少なかった。また、教委制度の運用実態への評価は以前の調査(2004年、2013年)に比べて改善していた。 (2) 教育と政治の関係、あるいは教育の政治的中立性に関して、本研究課題で得られた知見を活かしながら、教科書や実務家(教員、および地方公務員、地方議員)向けの雑誌でその論点や課題を解説し、研究成果の発信とアウトリーチに努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
首長、教育長への質問紙調査ではこれまでほとんど研究が行われてこなかった教委制度改革後の運用実態を明らかにするなど、ほぼ研究のねらい通りに進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は1年延長したため、2019年度にまとめの作業を行う。また、本研究課題を発展させて、国際比較の文脈で教育行政の政治的中立性・安定性・継続性の問題を検討するなど、本研究課題の知見を活かした研究の推進を図ることが今後の課題である。
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Causes of Carryover |
研究期間中に、教育行政の政治的中立性や、政治と教育行政との関係が問われるような事象が、特に文部科学省と他のアクター(政治家、教委、元文科官僚、大学)などとの間に相次いで発生した。本研究課題の問題関心を解明するうえで、こうした最近の事象も含めた分析を行うことが不可欠となったため、そのための研究実施の延長が必要となった。次年度は物品費、旅費など、研究遂行に必要な経費を支出する予定である。
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Research Products
(8 results)