2016 Fiscal Year Research-status Report
大学生のキャリア成熟の変容を考慮に入れた包括的キャリア支援プログラムの開発研究
Project/Area Number |
16K04541
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松井 賢二 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (80199728)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | キャリア選択自己効力感 / 時間的展望 / キャリア成熟 / キャリア支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では大学における4年間の包括的キャリア支援プログラムの開発を最終的には目指しながら、初年次の平成28年度においては「大学1年生のキャリア意識(キャリア成熟、進路選択自己効力感等)の実態」を明らかにすることを目的に、平成28年6月~7月にかけて下記の方法で質問紙調査を実施した。つまり、主として大学1年生が聴講している10の講義(「教職入門」「ダブルホーム活動入門」等)で、原則講義時間内に質問紙を配付し実施した。最終的には500人分の調査用紙が回収できた。その中から不備な(欠損値のある)調査用紙を除いた結果、有効回答者数は436人(男子:194人、女子:242人)となった。学部別にみると、教育学部268人(61.5%)、人文学部42人(9.6%)、経済学部32人(7.3%)、農学部28人(6.4%)、理学部18人(4.1%)、法学部17人(3.9%)、工学部13人(3.0%)、医学部保健学科11人(2.5%)、歯学部4人(0.9%)、医学部医学科3人(0.7%)であり、教育学部の学生が約6割を占めている。 次に、データ解析を行った結果の一部をみてみる。本調査で取りあげた変数について統計的に男女間に有意な差があるかどうかを検討するために、平均値の差の検定(t検定)を行った。その結果、統計的に有意水準5%で男女差がみられたのは以下の項目であった。まず男子の方が女子よりも有意に高いのは、「キャリア選択自己効力感尺度」(花井,2008)の「目標選択」得点と「計画立案」得点、および「充実感尺度」(大野,1984)の「時間的展望」得点であった。一方、女子の方が男子よりも有意に高いのは、「充実感尺度」の「責任感」得点のみであった。以上のことから、大学入学後間もない大学1年生をみると、男子の方が女子よりも比較的大学卒業後などの将来のことを見通している傾向にあることが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、大学1年生から4年間にわたって学生本人を追跡して質問紙調査を行うという縦断的調査が大きな特色である。 当初の計画通り、大学1年生(500人)を対象に質問紙調査を実施することができた。欠損値等不備な調査票を除いた結果、有効回答者数は436人であり、想定以上の調査協力者を確保することができた。また、有効回答者の男女の比率にも大きな偏りはなかった。 したがって、本研究の大きな柱である大学1年生対象の質問紙調査が首尾良く実行に移せたことは、何よりも大きな成果であるといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
第1に、昨年度有効回答であった436人を対象に、質問紙による縦断的調査の2回目(2年目)を実施する。通常先行研究でも2回目の回答率が大幅に低下してしまうので、できるだけ継続して2回目の調査にも協力してもらえるよう、何度も呼びかける(連絡する)などの工夫が必要である。 第2に、その有効回答者の中からキャリア成熟の程度によって何名かずつ抽出する。その抽出学生を対象に、大学生のキャリア形成過程を把握するために、インタビュー調査を実施する。 第3に、大学におけるキャリア支援に対する意見や要望等を把握するために、卒業生を対象にインタビュー調査を実施する。 第4に、大学におけるキャリア支援について先進的に取り組んでいる大学を訪問し、キャリア支援の方法や効果などについてインタビュー調査を実施する。
|
Causes of Carryover |
大学対象のアンケート調査(郵送調査)が実施できなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
大学におけるキャリア支援について調査するため、卒業生や大学を対象にインタビュー調査を実施するので、そのための旅費やテープおこし委託費に充当する予定である。
|