2018 Fiscal Year Research-status Report
沖縄の字公民館幼稚園を支える地域の教育自治に関する研究
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16K04560
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Research Institution | Meio University |
Principal Investigator |
嘉納 英明 名桜大学, 国際学部, 教授 (30449962)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 公民館幼稚園 / 保育士 / 合同運動会 / 集落 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、沖縄本島北部に位置する名護市の字公民館幼稚園の実態分析のために、元保育士からの聞き取りを中心に行った。報告書「沖縄の集落における子育ての共同組織に関する研究(その4)-旧名護町の字幼児園の合同運動会史-」(沖縄大学地域研究所『地域研究』第21号、所収)に続き、「沖縄の集落における子育ての共同組織に関する研究(その5)-名護市・仲尾次幼稚園の元保育士からの聞き取り-」(沖縄大学地域研究所『地域研究』第23号、所収)をまとめた。 報告(その4)は、字宮里幼児園の保育士であった奥原峯子所蔵の字幼児園関連資料の整理と元幼児園関係者への聞き取りによって、字幼児園の地域共同実践としての合同運動会の一端を明らかにしたものである。旧名護町内の字幼児園の保育士は、個々の幼児園相互の情報交換を積み重ねながら、保育実践の自己検証としての合同運動会を企画実施してきた。この名護幼児園会の運動会は、1971年(昭 46)の第1回から2011年(平23)の第 41回までの41年間の実践であった。日常的には、個々の集落の子どもの保育保障を担っていた幼児園は、幼児園全体の合同運動会を実践することで、「名護の幼児園はひとつ」であり、相互に協力し合って就学前の子ども支援に関わっていたという実感を持っていたといえる。 報告(その5)では、特に、元保育士(上地富子)は、戦前から夏季休業中の時には、字仲尾次の季節保育にかかわりをもち、戦後は、公民館から子どもの世話を依頼された。当時の公民館幼稚園の保育士は、無資格者が圧倒的に多く、保育士の手当は、保護者と集落の負担であった。仲尾次の公民館幼稚園の保育士は上地のみであったが、運動会やお遊戯会等の幼稚園の行事は、住民の理解と協力により運営された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
名護市の公民館幼稚園の実態分析は順調に進み、現在は、沖縄全域の公民館幼稚園の設立状況を、沖縄県公文書館の資料をもとに分析を進めているところである。また、石垣島の就学前教育とかかわっての地域における子育ての機関についても、調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
①沖縄全域の公民館幼稚園の設立状況を地図に落とし込んで、場所、収容幼児数、職員数を明記することで、沖縄の就学前の教育状況の全体像を把握する。
②石垣島の川原幼稚園等の「島の幼稚園」の実態分析を進める。
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Causes of Carryover |
沖縄の公民館幼稚園の研究については、石垣島等の離島における実態調査を予定していたが、名護市内の公民館幼稚園の元保育士等の聞き取り調査が続き、離島調査(旅費)を活用することができなかった。また、研究調査が進展するなかで、沖縄本島の読谷村の元保育士を確認できた。これらのことから、石垣島調査や読谷村調査を2019年度は集中的に行いたい。
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Research Products
(2 results)