2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Comparative History of the Selection of Local Capable People for the Creation of Learning Support System
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16K04568
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
関 直規 東洋大学, 文学部, 教授 (50405106)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | interwar metropolises / 学習支援体制 / 地域人材の組織化 / panels of instructors / 講師の質向上 / 職員の発掘・活用 / Idea Store Canary Wharf |
Outline of Annual Research Achievements |
今日、不利な環境に取り残されたままの人々の学びの支援が、国際的な共通課題になっているが、そのための基盤的研究の蓄積は、必ずしも十分ではない。本研究は、学習支援体制の構築における地域人材の発掘・活用について、両大戦間期の東京市とロンドン・カウンティ・カウンシルに焦点を当てつつ、日英の比較史の観点から実証的に明らかにすることをねらいとしている。 この研究では、国内外の公文書館・アーカイブズ等が所蔵する一次資料の分析に基づき、同時代の社会教育・成人教育分野を対象に考察した。まず、東京市の主要な社会教育活動であった「市民音楽」と「夜間体育実行会」に関して、学校を中心に普及した体育・音楽の生活化・民衆化に向けて、その役割を理解し、担う専門家の協力が不可欠だった。東京市では、体育・音楽の指導者を職員や嘱託員等として積極的に発掘・活用することで、学習支援体制を整えた。他方、ロンドン・カウンティ・カウンシルは、成人教育活動の講師を供給する「講師パネル」(panels of instructors)制度を設計・運用した。その際、特定分野の講師の欠乏、講師の高い流動性、教育を本業としない専門家の指導経験不足という諸問題の解決を図りながら、講師の質向上に尽力していた事実等を解明した。 このように、二つの大都市のアプローチは異なるものの、多様な地域人材の組織化による学習支援体制の構築が、社会教育・成人教育活動の成否に関わる課題と認識されており、実践の発展基盤を成していたことがわかった。
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