2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K04571
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
山本 由美 和光大学, 現代人間学部, 教授 (00442062)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教育行政学 / 小中一貫校 / 教育制度 / 小中一貫教育 / 学校統廃合 / アメリカ教育学 / 公共施設 / 比較教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本国内における小中一貫校制度を用いた学校統廃合の状況については、東京都、埼玉県の複数の自治体、および愛知県瀬戸市、福岡県朝倉市、京都府京都市京北地域、大阪府大阪市生野区などを対象にして、調査研究を行った。 2014年に総務省が全地方自治体に要請した公共施設等総合管理計画によって、公共施設を統合して床面積を減らすために、小学校と中学校の統合による小中一貫校が計画、開設される傾向が強く見られた。埼玉県鴻巣市、宮代町、滋賀県甲賀市などの過疎地の自治体も典型例であるが、東京都武蔵野市、杉並区など首都圏の人口が減少していない自治体でも同様の事態が起きている。 また2016年に学校教育法改正を受けて新たな学校種である「義務教育学校」全国で22校、および小中一貫型小・中学校が、開設された。また、今後増加するである。従来の福祉や介護の単位である地域コミュニテイである小学校区が、より大きな区分の中学校区に再編されることで、地域の新自由主義的な再編がめざされる。 また、アメリカのシカゴ市において、学校統廃合計画の中で、同一建物に小学校と中等教育の学校を統合する形での学校統合が行われる傾向があったが、その対象の1校であるサウセイド小学校では、教師、保護者、住民、児童らの反対運動により阻止された。その運動の中心的メンバーであるサラ・チエンバーズから、学校単位での共同について講演を受け、東京の足立区のケースと比較した内容を「学校を取り戻せ」(共著、2016年 花伝社)から出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内の小中一貫校制度を利用した学校統廃合の検証については、多くの事例を対象とでき、また分析、検証した内容の公表も行った。特に、総務省が2014年に各自治体に要請した公共施設等総合管理計画の影響が大きいことを検証した点は、予期しなかった成果である。 しかしアメリカとの比較調査については、シカゴ市の個別小学校のケースの分析および教師からの聞き取り調査にとどまった。そのケースについては、東京都足立区の学校統廃合計画等と比較を行うことができた。しかし、特に、小中一貫校による学校統廃合を多用しているデトロイト市などのケースについては検証することができなかった。今年度は、シカゴ市への訪問調査を予定し、全市的な統廃合における小中一貫校のケースを検証することを考えている。 また、東京都武蔵野市で市当局から、既存の小学校全てに中学校を併設して、従来の小学校区単位に「義務教育学校」を開設する全く新しい計画も公表されている。類似した改革を行っているサン・デイエゴ市のケースと比較してみたい。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで着手が遅れていた東北地方の県、特に福島県、岩手県、宮城県における学校統廃合の状況について調査研究の対象としたい。東日本大震災の影響を受けた統廃合措置の実態について検証し、子どもや地域への影響について調査したい。 また、既存の小学校全てに中学校を併設して、従来の小学校区単位に「義務教育学校」を開設する全く新しい計画が武蔵野市で公表されたことから、類似した改革を行っているサン・デイエゴ市のケースについて検証を行い、その効果と課題について明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
前年度行う予定でった、アメリカ調査を今年度に延期したため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度、アメリカ、シカゴ市の学校訪問調査を行う予定である。
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