2017 Fiscal Year Research-status Report
学校運営協議会と学校統廃合:コミュニティ・スクール指定解除・解消校の事例分析
Project/Area Number |
16K04576
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
大橋 保明 名古屋外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30387667)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 学校運営協議会 / 学校統廃合 / コミュニティ・スクール / コミュニティ・スクール指定解除・解消校 / 極小規模コミュニティ・スクール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の2年目は、(1)CS指定解除校の指定解除要因や指定解除プロセスに関する質的調査、(2)オーストラリアの学校審議会(school council)における学校統廃合事例分析、(3) CS極小規模校の抽出事例分析等を実施した。 (1)を実施するにあたり、2004~2017年度までのCS指定解除・解消校を改めて整理した結果、CS指定解除校51校およびCS指定解消校100校の計151校が確認でき、義務教育学校の制度化や学校統廃合の加速化により、CS指定解除・解消校数が研究申請時の約3倍に膨れ上がっていることが明らかになった。CS指定解除校における指定解除要因を手がかりにして、義務教育学校移行型、教育委員会評価型、合同実施解消型、学校運営類似組織体移行型、その他・不明等の5つのタイプに類型を試みた。 (2)については、ビクトリア州の小学校の学校審議会を訪問し、聞き取り調査を行った。今回の調査では学校統廃合事案への関与は確認できなかったが、ある学校では学校審議会内に情報発信の役割を担う担当者「Communications Coordinator」を置いて学校審議会の議論を地域に積極的に発信するなど、学校審議会の情報公開度を高めるべく取り組んでいた。 (3)について、2017年度のCS小学校2,300校の児童数の平均は315人で、CS小学校全体に占める極小規模CS小学校225校の割合は9.8%だった。また、2017年度のCS中学校数1,074校の生徒数の平均は310人で、CS中学校全体に占める極小規模CS中学校33校の割合は3.1%だった。CS指定校の学校規模に関する情報は、当初計画になかった2004~2015年度分を含む全期間について大橋研究室ホームページで公表している。(備考参照)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年4月1日現在のコミュニティ・スクール導入・推進校は、幼稚園115校、小学校2,300校、中学校1,074校、義務教育学校24校、中等教育学校1校、高等学校65校、特別支援学校21校の計3,600校(前年度比794校増)を数えるが、すべての学校の児童生徒数を併せてホームページに公表した。また、CS指定解除校51校およびCS指定解消校100校の計151校が確認でき、これらについても同様に公表している。CS指定解除校に関する質的調査では、聞き取り調査依頼を拒否されることも少なくないが、公開されている教育委員会議事録等の文献資料調査や学校運営協議会の会議傍聴等のフィールドワークで補うなどしているため、全般的に当初の計画通り、「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度(研究のまとめ)であるため、教育関連諸学会等において積極的に学会発表や論文投稿を行う予定である。また、これまでの調査研究の中で、極小規模CS義務教育学校における学校運営協議会制度(コミュニティ・スクール)導入・推進の成果と課題等について考える機会を得たが、今後、「へき地関連特認校」におけるコミュニティ・スクール導入・推進事例の調査研究が重要課題になると思われるので、可能な範囲で研究のまとめに反映させたいと考えている。
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Causes of Carryover |
聞き取り調査等で得られた質的データの処理(テープ起こしなど)のための労務費を一定額計上していたが、データ内容をより正確に把握していくことが必要になり、可能なかぎり研究代表者自身で作業を行ってきたため、次年度使用額が発生した。 次年度は研究最終年度であるため、研究のまとめに向けて労務費を適切に執行するとともに、研究成果の発信の場を当初計画よりも増やす予定であるため、その旅費等として執行したいと考えている。
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Research Products
(5 results)