2016 Fiscal Year Research-status Report
英国における教育から労働市場への移行・統合に関するパネル調査実施のための予備調査
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16K04581
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
佐野 正彦 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (00202101)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Transition to Work / Further Education / 若者パネル調査 / 職業教育・訓練 / 英国 / 後期中等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年11月12日~11月20日において、渡英し、International Conference of Interdisciplinary Social Science Studies(University of Oxford)に参加し、口頭発表(Precarious Transition from School to Work in Japan)を行うとともに、若者の仕事への移行を捕捉するパネル調査の有効性やその成果について、会議に参加した他の研究者から意見を聞いた。 さらにUniversity of Leicesterに赴き、社会学部の教授らとともに、これまでの若者の移行調査およびその成果の日英比較、さらに英国で実施する若者調査の内容、方法、調査を実施する対象・協力機関の検討等を行った。 2017年3月9日~3月17日において、再び渡英し、レスターの若者移行調査の実施対象候補となる継続教育カレッジを訪問し、施設設備、教育内容、在籍する若者の状況について関係者にインタビューを行うとともに関連資料の蒐集を行った。更に、ロンドンに赴き、若者移行調査のロンドンでの実施対象候補となる継続教育カレッジの連合体である、Association of Colleges Londonとロンドン大学、 Institute of Educationが共催するセミナー、報告会であるEast London Vocational Education and Training に参加し、東ロンドンの継続教育カレッジにおける現在進行中の改革、そのもとでの若者の状況について情報を収集し、さらにまた、関係各カレッジの教職員の方から情報収集するとともに、調査協力の可能性などの相談を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、3年後(2019年)をめどに「英国における教育から労働市場への移行・包摂に関するパネル調査」(継続教育カレッジを離学し労働市場へ参入する若者(18歳~24歳)を3年間にわたり追跡し、職場への包摂・定着のプロセス、メカニズムを明らかにするパネル調査)を実施するための準備及び予備調査を実行することを目的とする。 そのうち今年度は、①調査設計をし、質問票の内容やワーディング等の妥当性、実施方法の有効性を検証する実験的予備調査の準備を行った。具体的には、英国の研究者にその計画について意見とアドバイスを得るための検討会を2度行い、実験的予備調査のグラウンドデザインについての設計をほぼ完成した。 さらに、②調査対象となる若者が在籍する継続教育カレッジの候補をロンドンとレスターにおいてセレクトし、その候補としたいくつかの機関への訪問を実施した。それらの機関の概要、在籍生徒の状況、立地する地域特性などを調べた。 また、③目的とする調査の学術的背景を明らかにすべく、これまでの若者の移行調査の成果と今後の課題を明らかにするために、日・英・独の研究者による国際シンポジュウム(YCSJ国際比較調査シンポジュウム)を、主催者メンバーの一人として、企画・実施し、また口頭発表も行った。それによって本調査の位置づけや計画の改善点や課題が明らかとなった。 ただし、当初、調査対象地域として、ロンドン、レスター、グラスゴーの3地域を予定していたが、グラスゴーの協力研究者が急逝したために、今年度はグラスゴーに関する調査を延期し実行していない。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度には、まず①調査票の作成とそれを使った実験的、モニタリング調査を行う。職業教育ルートをたどる若者の移行過程の詳細と彼らの置かれた状況をホリスティックに把握するために、次の4 つの次元を設定し、それぞれ、現在および過去にさかのぼって変遷をたずねる質問票を作成する。 (a)就労(就業・離転職・失業歴、入職経路・手段、職場環境や仕事内容、就労観・職業観)。(b)学校経験(学校歴、学業成績、学校への適応状況、進路選択に影響を与えたものへの認識など)。(c)家庭環境・生育歴(家族構成、親の職業・学歴、生活水準、就労に関しての家族からの援助等。(d)ソーシャル・ネットワーク(交友関係、仕事以外の活動、生活への評価や将来設計など)。上記の(b)~(d)の質問項目については、以前に実施した継続教育カレッジの調査との比較可能なようにできる限り同じ設計・構成にすることに務めるが、(a)については教育機関と企業のインタビューを実施し、それを踏まえた、より詳細を問うことのできる内容に再設計をする。 ②作成した調査票をもとに、ロンドンとレスターのそれぞれ1つのカレッジをセレクトし、在籍する10名程度の若者に調査票に回答してもらい、調査項目やワーディングおよび実施方法の妥当性を検証するとともに、さらにパネル調査として調査対象者を追跡・トラッキングをするための有効な方法についても意見を聴取し、また実際にいくつかの方法を試してみてその有効性の検証を行う(2017年9月頃および2018年2月~3月頃を予定)。
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Causes of Carryover |
海外調査対象地域として、英国のロンドン、レスター、およびグラスゴーを予定していたが、グラスゴー大学の研究協力者が急逝したために、今年度の計画からグラスゴー調査を断念した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
グラスゴーに新たに研究協力者を得ることができた場合には、今年度においてグラスゴーでの調査を改めて行うが、それができない場合、残りのロンドンおよびレスターにおいて調査対象機関を増やし、その差額を費やする。
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Research Products
(6 results)