2016 Fiscal Year Research-status Report
アメリカ中等後教育改善基金における教育財政援助政策の現代的展開に関する研究
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16K04584
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Research Institution | Kansai University of International Studies |
Principal Investigator |
吉田 武大 関西国際大学, 教育学部, 准教授 (70512846)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アメリカ連邦政府 / 中等後教育改善基金 / 全米FIPSE委員会 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、アメリカ連邦政府の一部局である中等後教育改善基金(以下、FIPSE)に対して、教育プログラムの開発・改善に関する優先事項を提言する全米FIPSE委員会がなぜ設置されたのかを明らかにするために、全米FIPSE委員会を対象として、1970年の法案提出から1980年教育改正法成立までの間に同委員会がどのようにして法制化されたのかを、同委員会の権限と構成員に焦点を当てながら明らかにすることを目的として設定した。 全米FIPSE委員会は、FIPSEが中等後教育機関等に財政援助を実施するかしないかの判断を行うにあたって、その基本的な基準や方向性を設定するという重要な役割を担っている。ここからは、FIPSEにおける基準や方向性といった政策の形成をめぐって、全米FIPSE委員会に関する研究の必要性を指摘することができる。 しかし、この点を明らかにした先行研究はみられず、FIPSEの創設過程を時系列的に記述した研究や財政援助の概要を論じた研究が散見される程度である。 そこで今年度は、冒頭に掲げた目的を明らかにするために、3つの研究課題を設定した。具体的には第1に、1970年に全米FIPSE委員会に関する法案が連邦議会に提出された経緯を検討し、第2に、1972年教育改正法の制定過程において、全米FIPSE委員会がどのように取り上げられたのかを分析し、第3に、1972年教育改正法の成立後、全米FIPSE委員会がいかなる経緯を経て1980年教育改正法で法制化されたのかを考察した。 検討の結果、次の2点を明らかにした。まず、1980年教育改正法で全米FIPSE委員会の権限が具体的に規定されるとともに、諮問的な性格が強まった。次に、全米FIPSE委員会の構成について、国民一般の代表者を含めるという考え方が基本的に維持されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全米FIPSE委員会の法制化過程に関する連邦議会資料を概ね収集することができ、また、その結果を論文という形にまとめることができた。 ただ、連邦議会資料以外の関連資料収集という点で若干の課題が残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策については、以下の2点を予定している。 まず、FIPSEにおける「特別プロジェクト」の設定の検討である。1992年に、FIPSEのディレクターが全米レベルの教育ニーズを踏まえて「特別プロジェクト」を設定することができるようになった。そこで、なぜFIPSEのディレクターが「特別プロジェクト」を設定することが可能となったのかを、FIPSEの関連法令、具体的には1992年改正高等教育法を手がかりとしながら明らかにする。分析に際しては、1992年改正高等教育法および同法制定に関わる議事録等の議会資料を活用しつつ、関係者への聞き取り調査も行う。 次に、FIPSEにおける特定の教育プログラムの設定の分析である。2008年の法改正によって、FIPSEのプログラム援助に、連邦政府の重視する特定の教育プログラムが設けられた。そこで、なぜこうした特定の教育プログラムに関する財政援助が規定されたのかを、FIPSEの関連法令、具体的には高等教育機会法を手がかりとしながら検討する。検討に当たっては、高等教育機会法および同法制定に関わる議事録等の議会資料を活用しつつ、関係者へのインタビュー調査も行う。
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Causes of Carryover |
入手した資料で研究成果を概ねまとめることができたことに加え、現地でのインタビュー調査が先方の都合により実施できなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に実施できなかった現地でのインタビュー調査の実施に充当する予定である。
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