2018 Fiscal Year Annual Research Report
Holocaust Education in Germany's Neibouring Countries: Cases of UK, France and Sweden
Project/Area Number |
16K04596
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柴田 政子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (30400609)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ホロコースト / 歴史教育 / 第二次世界大戦 / イギリス / フランス / スウェーデン |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたる今年度、国内においては英・仏・スウェーデンの対象3か国の歴史教育政策を総括すべく、第二次世界大戦とホロコーストに特化した歴史教育政策両面について整理した。主に国立国会図書館と教科書研究センター図書館における一資料と二次資料の文献調査を行った。一次資料については、国会図書館・議会官庁資料室において一部英国議会のものが入手出来た。その他は各国教育省の英語版ホームページ掲載の官公資料を糧とした。 研究計画の目的のひとつである、比較検討のため、地方の平和記念資料館や学校歴史博物館等で、各地方自治体による戦後の歴史教育の取り組みについても調査を行った。 国外における今年度現地調査はフランスで行い、当初予定通りショア記念博物館において展示並びに教育・啓発活動の実態について調査した。同館における調査は、2013年1月に次いで今次で2回目であるが、シラク政権以来のホロコースト教育の強化政策が着実に発展・展開されていることが明らかとなった。英国・スウェーデンと同様、相対化の目的で対象国のみでなく歴史的・政治的・文化的にもつながりの深い近隣諸国をも含めた調査を行った。この調査でも同様に、1990年代以降の第二次世界大戦関連歴史教育、ホロコースト教育に力点がおかれていることが明らかとなり、当初仮説通り、冷戦終結・ヨーロッパ統合という時代的文脈との強い関連性が明らかとなった。 こうした活動内容についての学会発表は、国内では現地調査報告を主としたホロコースト教育に重点を置いたテーマを扱い、国外では日本の戦争関連の歴史教育との比較考察に重点を置いたテーマを扱った。 3か年の調査を通じ、わが国の歴史教育への示唆として、歴史認識は単に教育・学術上の議論を超え政治・外交問題との関連で極めて政治的なテーマであり、政府主導の歴史教育政策の大きな転換が求められると言える。
|