2018 Fiscal Year Research-status Report
地域・社会連携を通した高等教育の多様なイノベーションとその成立要因に関する研究
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16K04599
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
稲永 由紀 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 講師 (80315027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉本 圭一 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (30249924)
猪股 歳之 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (60436178)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高等教育 / 地域連携 / 社会連携 / イノベーション / 大学 / 教員 / 高等教育政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題は、我が国において2000年代前後から急速に加速した高等教育機関と地域・社会との組織的な連携について、今回は研究実績のある大学に焦点をしぼり、我が国の多様化した連携・交流の構造とその成立要因を解明することを目的としている。特に2000年代以降、「大学」および関係する古典的諸概念との葛藤が適用されそうにない「先端的」連携・交流事例が出てきつつあることから、本申請課題では、改めて機関全体としての地域・社会連携の志向性に着目するとともに、その成立要因について、トピック別の分析ではあまり取り扱われない、機関(組織的対応)および教員(知的生産志向性の変容)から解明を試みようとするものである。3年間の研究期間内に、①先行事例・先行研究の収集分析、理論枠組みの推敲、②先端的事例へのインテンシブな訪問調査、③大学改革動向調査、④成果公表を予定している。 このうち平成30年度は、前年度から継続している①②に加え、③に着手した。①については、研究代表者および研究分担者(吉本)が担当理事となっている日本高等教育学会平成29-30年度課題研究「高等教育と地域社会」で議論され、教育学からのアプローチは外部ステークホルダーの多様性に関わる議論に乏しいことに加え、他学問領域で課題となっている高等教育機関の「産出」機能に依らない、高等教育固有のアプローチが必要であることが確認されている。②については、引き続き、調査対象校の候補のうち一部に対して訪問調査を実施した。その結果、地方地域の大学でも、所在地域固有の文脈や人脈にアプローチできる教員とそうでない教員がおり、必ずしも専門分野や勤続年数等の個人属性だけで所在地域への関与が決まるものではないことが分かってきた。③については、調査対象校の抽出と調査票の草案作成まで終わっており、実査は来年度に予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、今年度は最終年度であり、昨年度実施予定であった調査の実施および研究成果のとりまとめをおこなう計画を立てていた。しかし、今年度(特に後半)、研究代表者が博士学位申請論文の執筆および審査に入ることになったため、今年度計画していた調査およびとりまとめの時間がとれなくなった。そのため、今年度末に研究期間の延長を申請し、承認いただいている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の博士学位申請については、すでに昨年末から審査が開始されており、現在、来年度前半の取得にむけてとりまとめ・調整を進めている。学位論文のとりまとめが終わり次第速やかに、本研究課題で残っている調査および研究成果のとりまとめに着手する。
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Causes of Carryover |
今年度後半に、研究代表者の博士学位申請論文のとりまとめならびに審査が行われることになり、今年度実施予定であった教育改革動向調査ならびに本研究課題とりまとめを実施することが叶わなかった。このことについて、次年度前半に博士学位取得が見込める状況まで達しているため、学位申請論文とりまとめが終わり次第速やかに、今年度実施できなかった調査ととりまとめを実施するとともに、成果発表を行う計画である。
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