2018 Fiscal Year Annual Research Report
The chance and the gender bias in Czech higher education: the factor wchich obstacles female career
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16K04613
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
石倉 瑞恵 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (30512983)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ジェンダー / チェコ / 高等教育 / 女性研究者 / 意識変容 / 欧州研究圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
チェコの大学において女性研究者がフェイドアウトする要因を大学が包摂する文化・制度的問題という観点から分析した。民主化後の大学の文化・制度的特色、およびジェンダーの問題を明らかにするために、社会主義期に研究職を志した女性研究者と民主化後に研究者を志した若手女性研究者それぞれが指摘している問題を比較検討した。 民主化・国際化改革を経た現在の大学には、保守的なジェンダー認識を抱える女性にいくつかの障壁を呈するモデル・コースが確立している。「長期間の在外研究―博士の取得―ジュニア助成の獲得―准教授へ」というキャリア・コースの中で女性研究者が葛藤を抱える最初の段階は、ジュニア助成への応募資格がある35歳までである。民主化後の研究者に必須とされている長期在外研究や若手助成への応募時期が家族形成期にあたり、若手キャリアの確立と育児との両立(保守的なジェンダー認識)での葛藤を抱える。さらに、それ以降のプロセスに直面しても女性研究者は自信と展望を抱くことができない。大学が自由競争の時代に入り、研究者には、研究チームを形成し、研究資金を獲得する経営者としての資質が必要とされるようになったが、女性は組織運営を担うことに対して消極的であり、自らが望もうとしないからである。自信の欠如が理由であるが、自分が家族の世話を優先させなければならないという責任感、男性優位を容認する意識、女性研究者のキャリア・モデル不在がその背景にある。 民主化後に研究者を志す女性は、以上のような大学の文化的・制度的特質により、社会主義期の女性研究者よりも研究職を継続することが困難になる傾向にある。したがって、現在の大学では、社会主義世代の女性研究者、すなわち、民主化直後の大学構造改革期、新設分野における人材不足を背景として、キャリア・ステージがモデル化する以前に研究者になった世代が多い。
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Research Products
(2 results)