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2019 Fiscal Year Research-status Report

豪州・へき地小規模校の学習環境に関する研究-エビデンス・教育資源・教員の観点から

Research Project

Project/Area Number 16K04618
Research InstitutionFuji Women's University

Principal Investigator

伊井 義人  藤女子大学, 人間生活学部, 教授 (10326605)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2021-03-31
Keywordsへき地教育 / 社会的公正 / 通信制教育 / オーストラリア / 教育格差
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、豪州・へき地小規模校の学習環境の質向上をめざした教育政策および実践を分析し、その地域や学校の特性を「強み」として活用する方策を明らかにすることにある。19年度は、引き続きクイーンズランド州内の遠隔教育学校(School of Distance Education)や寄宿学校への訪問を中心に現地調査をしながら、そこで得た知見について現地の研究者、学校関係者と情報交換を行った。
これらの訪問により、これまで数値上で確認することが難しい学校の現状の「実際」を聞き取ることができた。これらの訪問で明らかになったは以下の三点である。
第一に遠隔教育学校が学習者の多様なニーズに対応しているという点である。これまで、遠隔地学校は地理的に孤立した場所に居住している学習者を対象としてきた。しかし、現在は、地理特性には関係なく、社会的な孤立を余儀なくされている学習者にも学習機会の提供を担っている。このような機会の提供により、遠隔教育学校の就学者数は増加傾向にある。
第二に、学習者の多様なニーズに対応する遠隔教育学校は、多様な専門性を有した教員が必要になっている点である。多様なニーズには、小規模校では提供できない専門性を有する科目へのニーズも含まれる(特定言語の技能など)。また、不登校など、メンタルヘルスの面での対応が必要な生徒も在籍することとなる。そのため、多様なニーズに対応するための教員の専門性も教員研修などで習得する必要がある。
第三に、遠隔地への対応を出発点として、オーストラリア社会全体の学校教育の公正性を遠隔教育学校は担保している点である。
以上のことから、遠隔地・へき地特有の教育環境への対応から始まり、遠隔教育学校ではそこで構築された学校システムを「強み」として活用し、より広範囲な社会的公正の実現に向けた方策となっていることを明らかにしてきた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

現地調査も順調に実施し、一定の研究成果を上げている。特に、連邦・州教育省が公表してきた報告書などでは把握できなかった「現実」を学校訪問やそこでのインタビュー調査を通して知ることができ、その分析を進め、現状と課題の整理、および政策の最新動向を把握した上で、学会発表や論文で随時公表している。
しかしながら、当初予定していたよりも、全国・州規模の遠隔地・へき地学校、および遠隔地教育学校への支援体制の把握が複雑化しており、その全体像を把握できずにいる。また、19年末に公表予定であった報告書のまとめにも時間を要している状況にある。

Strategy for Future Research Activity

20年度は、これまでの現地調査の成果を公表していきたい。特に、19年度末に発行予定であった、小冊子の完成を早い段階で実現させ、、北海道内の教育関係者に配布する予定である。
現地調査は今年度は、実現が困難である。そのため、①小冊子の完成(遠隔地学校教員インタビュー)、②遠隔教育政策に関する現状と課題、③遠隔地教育に関する先行研究の整理、の三点に焦点を絞り、これまで4年間の成果を公表する一年としたい。また、可能な限り、オンライン会議システムなどを活用して、オーストラリアの現地教員や研究者との情報奥感は進めていきたい。

Causes of Carryover

19年度末に実施予定であった現地最終調査、および、刊行予定であった報告書の作成が年度末の社会情勢の変化によって、実現が困難になったことが理由としてあげられる。20年度も引き続き、現地調査の実施は困難であることも想定され、研究成果をまとめ報告書の作成に焦点を当て、研究を遂行する予定である。その際には、随時、現地の現職教員や管理職、研究者とのオンラインでの情報交換を進め、最終報告書の内容を精査していきたい。

  • Research Products

    (3 results)

All 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] オーストラリア遠隔地の学校における教員の確保と定着に関する課題 : 学校長・教員へのインタビューからその実態を探る2019

    • Author(s)
      青木麻衣子、伊井義人
    • Journal Title

      オセアニア教育研究

      Volume: 25 Pages: 68-85

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] A Study on the Possibility of High School's Contribution to Rural Community in Japan2019

    • Author(s)
      Yoshihito Ii. Miki Jimbo
    • Organizer
      XVII World Congress of Comparative Education Societies
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 遠隔通信制学校(School of Distance Education)の現状と新しい役割2019

    • Author(s)
      伊井義人
    • Organizer
      オセアニア教育学会第23回大会

URL: 

Published: 2021-01-27  

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