2020 Fiscal Year Annual Research Report
A study of intercultural adaptation and intercultural education based on the differences in mobility between urban and rural areas in Japan.
Project/Area Number |
16K04626
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
山本 志都 東海大学, 文学部, 教授 (30336424)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪原 龍介 亜細亜大学, 経済学部, 准教授 (20404808)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 異文化感受性 / 異文化間教育 / 異文化受容 / 異文化トレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は3つの点で研究を進めることができた。第1点目、これまでの成果に基づきMilton Bennettによる異文化感受性発達モデルを理論枠組みとした尺度項目を作成し、アンケート調査(n=600)を行った。調査では地域間、および、そこに住む人の流動性と異文化感受性との関係を調べるために、国勢調査による過去5年間の人口転出入に差があり、なおかつ、経済規模が同程度と見なされる地域間の比較を行うことにした。東京23区と大阪市、福岡市と北九州市のそれぞれ150名を対象にした調査の結果を比較する(2021年4月に追加調査、岡山市と静岡市n=300)。尺度開発用の63項目は探索的因子分析を行い信頼性を検討して尺度化し、学会誌に投稿予定。 第2点目として、量的調査用に開発した尺度項目を教育ツールとして質的利用する方法を開発し異文化コミュニケーション学会年次大会で「異文化感受性を用いた過去の経験の再組織化と創造」として報告し、ワークショップを行うことで学会員に体験してもらうことができた。これは2018年度に行ったTEA(複線径路等至性アプローチ)を応用したインタビュー調査に基づいている。インタビュー協力者が異文化感受性の指標を用いて経験を語り直すことが「自伝的記憶に理論が干渉することによる共構築であり組織化」になっていることがわかった。異文化感受性尺度と併用することで個人が異文化体験を深く理解できるような教育ツールとなる。 第3点目として、異文化感受性発達モデルを理論的枠組みとする著書『異文化コミュニケーションを生きるトレーニング(仮称)』を2021年度に三修社より出版予定である。上記の「異文化体験の再組織化ツール」もここに含まれる。これらと「日本型の異文化感受性尺度」の3点を用いることによって、今後日本での異文化受容について研究・教育を発展させることに貢献することを本研究の意義としたい。
|