2021 Fiscal Year Annual Research Report
Basic research on the articulation reform between secondary and higher education and student transformation in the UK
Project/Area Number |
16K04629
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
沖 清豪 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70267433)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イギリス入学者選抜 / GEC A-level試験 / 学生の多様化 / 公正な選抜 / 成人学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はイギリスにおける2010年代における入学者選抜制度改革、特にGEC A-level試験制度の改革を通じて、高等教育機関への進学者がどのように変容してきているのか、そして改革の論理は何かを明らかにすることが全体の課題であった。 調査研究を通じて、論理としてはWide Participationと呼ばれる社会・経済的背景を越えた進学率の向上を目指す政策と、Fair Accessと呼ばれる公正な選抜制度の導入を目指す政策とが並列されていることが明らかとなった。これらの導入によって英国の高等教育進学率は1990年代から上昇しつつあるものの、一方で民族間や地域間に存在していた格差是正には有効に機能していないという現状も示された。 また24歳以上の成人学生に対する高等教育機会へのアクセスの方法として、正規学生でも通常のA-level試験を利用せず、アクセス課程での履修を経由して学位取得の課程に出願するという方式や、事前学習認証制度(Accreditation for Prior Learning)を活用して多様な大学に進学することが推奨されている。こうした取組みにも関わらず、成人学生の進学率は逓減傾向にあり、経済状況の悪化や学費の上昇が成人学生の進学率に与える影響が注目された。 こうした変容を通じて、学生像自体も変容している中で、コロナ禍が大学進学や入学者選抜にどのような影響を与えたのかが今後明らかにすべき課題として残された。特に2020年度と21年度についてはA-level試験が中止されることで、入学者選抜制度が問われる事態となっており、2022年5月に当該試験が再開した後に、どのような影響が生じているのかが注目される。
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